わたしは痺れて硬くなった右足をゆっくりのばして立ち上がった。わたしの周りだけで微かに空気が動いた。抱え込んでいた体温が一度に逃げていった。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:27% 作品を確認(amazon)
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立ち上がる
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前後の文章を含んだ引用
......きをする。すると余計に闇は濃くなって、目蓋の裏側がわたしに迫ってくる。頭の奥が眩暈のように揺れる。そしてわたしの正常さも、輪郭を失って頼りなく流れ出してゆく。 わたしは痺れて硬くなった右足をゆっくりのばして立ち上がった。わたしの周りだけで微かに空気が動いた。抱え込んでいた体温が一度に逃げていった。指先を壁に這わせてスイッチを入れた。勢いのある光が部屋中に満ちる。目蓋が痛みに似た眩しさのせいで強張る。部屋が、新しい色を持った風景に変る。 わたしは鉛のような......
単語の意味
痺れる(しびれる)
痺れる・・・ビリビリとした刺激を感じる。また、感動して感覚的にビリビリと感じて、興奮したり魅了されたりする。
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水からあがる時の河馬(かば)のような自らの体重を感じながら、しかたなく立ちあがる。
筒井 康隆 / 夢の木坂分岐点 amazon
椅子を鳴らして立ち上がった。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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夢野久作 / あやかしの鼓
薄いビール・グラスの縁に唇をつけたまま黙って肯いた。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
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