(溺死)身体は仆 れると共に沖へ運ばれました。《…略…》次の浪が浜辺へ引き摺 りあげました。《…略…》また沖へ引き去られ、また浜辺へ叩きつけられました。
梶井基次郎 / Kの昇天――或はKの溺死 ページ位置:97% 作品を確認(青空文庫)
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死人・遺体
溺れる
波
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前後の文章を含んだ引用
......、イカルスが幾人も来ては落っこちる。 K君はそれを墜落と呼んでいました。もし今度も墜落であったなら、泳ぎのできるK君です。溺れることはなかったはずです。 K君の身体は仆 れると共に沖へ運ばれました。感覚はまだ蘇えりません。次の浪が浜辺へ引き摺 りあげました。感覚はまだ帰りません。また沖へ引き去られ、また浜辺へ叩きつけられました。しかも魂は月の方へ昇天してゆくのです。 ついに肉体は無感覚で終わりました。干潮は十一時五十六分と記載されています。その時刻の激浪に形骸の翻弄 を委 ねたまま、K君の......
単語の意味
浪(なみ・ろう)
沖(おき)
身体(しんたい)
浪・・・1.波。
2.波のように移ろって定まらない。行方が決まらずさまよう。「浪人」
2.波のように移ろって定まらない。行方が決まらずさまよう。「浪人」
沖・・・海や湖の岸から離れた所。
身体・・・人のからだ。肉体。
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死人・遺体の表現・描写・類語(人の印象のカテゴリ)の一覧 ランダム5
この無残にも形を失った顔は、まるで死がこの上を兇暴な力をふるいながら嵐のように通り去り、荒井幸夫のなかに動いていた生命を 生 胆 を抜くかのようにひっさらって行ってしまったという風に見える。
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
田部夫人の顔は凹んだ眼をクヮッと見開き、白痴のように開いた大きな口の中に赤い舌をのぞかせながら、こちらを 凝視 めていた。死体が眼を大きく開いているのは手術中、苦しんだ証拠である。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
ネグリジェの中の体は冷えた粘土のように堅く、重かった。
阿刀田 高 / 捩れた夜「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
(亡くなった我が子の)押しつけられたなきがらのよろめくような重さを、乙松は忘れない。
浅田次郎 / 鉄道員(ぽっぽや)「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
(死人の顔)なだらかな傾斜をもっていた荒井幸夫の顎は、色を変え、うすっぺらになり、そこには既に筋肉の力が働いていないことを示していた。
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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溺れるの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
梶井基次郎 / 冬の日
頭だけが難破した舟の木片のようにしばらく漂っていたが、舟のたてた波が間もなく覆ってしまった。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
一心不乱に動かす手足と同じほどの忙 しさで、目と鼻ぐらいの近さに押し迫った死からのがれ出る道を考えた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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波の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
宮沢賢治 / 銀河鉄道の夜
波の加減で噴水のようにしぶきをあげる流水
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
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「水面・水中・水辺」カテゴリからランダム5
海水は汚れてどろどろ、葬式の匂いがする。
林芙美子 / 新版 放浪記
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「生と死」カテゴリからランダム5
壁を突き破るような産声が湧き起こる
有吉 佐和子 / 華岡青洲の妻 amazon
子鹿の死骸が横たわっていた。完全に白骨化してはおらず、背骨のあたりには斑点模様の皮膚がぼろ切れのように張り付き、投げ出された四本の脚は、息絶える瞬間まで立ち上がろうと苦闘した形のまま、まだ胴体につながっていた。内臓は溶け出し、目は暗い空洞となり、半開きの口からは十分に育ちきっていない小さな歯がのぞいて見えた。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
さらさらと答案用紙の上を滑る鉛筆の音がとてもよく似合うしんとした雪の日
松村栄子 / 至高聖所 amazon
登った木から降りられなくなった猫みたいに、どこへも行けず
中島 京子「小さいおうち (文春文庫)」に収録 amazon
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