日本語表現インフォ：ピンとくる言葉や描写が見つかる辞典

（死人の顔）なだらかな傾斜をもっていた荒井幸夫の顎は、色を変え、うすっぺらになり、そこには既に筋肉の力が働いていないことを示していた。

野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録　ページ位置：79%　作品を確認（amazon）

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前後の文章を含んだ引用

......かしそれはむしろ下宿の主婦の興奮した心に対してなされたのにも等しかった。　及川隆一は再びタオルから覗いている死人の顎や、額の一部や頭髪に眼をむけ始めた、……あのなだらかな傾斜をもっていた荒井幸夫の顎は、色を変え、うすっぺらになり、そこには既に筋肉の力が働いていないことを示していた。そしてその頸は顎のすぐ下のところまで、鼠色のネルの寝衣でつつみ込まれていたが、それは下宿の主婦が頸に食い入った物の跡をかくすために工夫したのにちがいなかった。「......

単語の意味

顎・頤・腭（あご）

顎・頤・腭・・・１．口の上下の、歯の生えている部分で、話したり物を噛んだりするのに役立つ器官。
２．下あご。頤（おとがい）。
３．釣り針の先に逆向きにつけた返しのこと。釣り針のかかり。鐖・逆鉤・逆鈎（あぐ）。
４．機械や道具などで、物をつかんだり引っ張ったりする開閉部分。
５．食事。食料。まかない。食費。
６．口をきくこと。物言い。おしゃべり。

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死人・遺体の表現・描写・類語（人の印象のカテゴリ）の一覧ランダム５

カメ虫はいずれも死んだともみえぬ姿で、かえってこれが永遠のいのちだといわんばかりに干からびて

森敦 / 月山　amazon関連カテ死人・遺体その他の虫

（蜂の死骸）蜂が玄関の屋根で死んでいるのを見つけた。足を腹の下にぴったりとつけ、触角はだらしなく顔へたれ下がっていた。

志賀直哉 / 城の崎にて「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録　amazon

創痕部は縦約四センチ、横約三ミリ。創傷周囲の組織も損傷が甚だしく、創痕の底部は体内の深さ約八センチにまで及んでいる。斜め前方より刺突され、階段の手摺に背を預ける形で背後に倒れ込み、植え込みにうつ伏せ状態で落下したものと思量される。

翔田寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録　amazon関連カテ肌の傷・怪我死人・遺体刃物で人を切る（刺す）

永久に唖（おし）の如く黙っていた。

芥川龍之介 / 羅生門関連カテ黙る・沈黙死人・遺体

（首を絞めた相手の）身体から力が抜けていた。魂が蒸発してしまったかのようだった。

伊坂幸太郎 / ラッシュライフ　amazon