(名前の分からない死者)死者は、あちらから呼びかけることは出来ず、ただ呼びかけられることを待つだけである。しかし、名前の定かでない死者は、誰からも呼ばれることなく、その分一層、深い孤独の中にあるようだった。
平野啓一郎「ある男」に収録 ページ位置:25% 作品を確認(amazon)
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死人・遺体
名前がない
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前後の文章を含んだ引用
......たその〝X〟を、会話のただ中に立ち止まって振り返る。夫だったはずだと思う。しかし、遠ざかってゆくその背中に呼びかける本当の名前は、彼女自身も知らないのだった。 死者は、あちらから呼びかけることは出来ず、ただ呼びかけられることを待つだけである。しかし、名前の定かでない死者は、誰からも呼ばれることなく、その分一層、深い孤独の中にあるようだった。 仏壇に飾られた夫の遺影と向き合っても、里枝は、何と言えば振り向いてもらえるのかがわからなかった。生前は、子供と一緒の時には「パパ」や「お父さん」と呼んだが、二......
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死人・遺体の表現・描写・類語(人の印象のカテゴリ)の一覧 ランダム5
黒焦げの死骸はどこにさわってもぼろぼろと毀(こわ)れる灰の人形
川端 康成 / 掌の小説 amazon
もはやこの男は生命を持ってはいない。
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
ネグリジェの中の体は冷えた粘土のように堅く、重かった。
阿刀田 高 / 捩れた夜「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
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幼少期から馴染んだおじいちゃんの顔が、こうしてなにか粘土で造った人形のような感じになってしまった
滝口 悠生 / 死んでいない者 amazon
眼の小さい、鼻の上を向いた、どこかひょうきんな所のある老人
芥川龍之介 / 運
無意識ながら視線を外したのは、おそらくその時点で貫禄負けをしていたのだろう。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー 角川文庫 amazon
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ユッコが雪みたいにひやっこくなって帰ってきただべさ
浅田次郎 / 鉄道員(ぽっぽや)「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
(首を絞めた相手の)身体から力が抜けていた。魂が蒸発してしまったかのようだった。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
突然、死の割れ目が足もとに見えてきた
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
さつじん【殺人】人を殺すこと。読者の興味を失わせないために、唐突に発生する事象。―じけん【殺人事件】小説が推理小説であることを分かりやすく広告するために、題名に付けられる接尾語。「後光――」
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
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夏目漱石 / 吾輩は猫である
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