食べすぎたあとは、ぞろぞろ連れだって散歩にでた。冷たい空気が食べすぎの身にこころよかった。

酔ったような心もとない足取りで

水の上の漂うようにゆらゆらと歩く

片側の壁に片手をつきながら、危い足取りで帰ってきた酔払い

散歩は一年中楽しめるものであるが、特に春先がいい。ポカポカ陽気の中を、何の目的もなくブラブラ歩くのは楽しい。《…略…》秋の枯れ葉を踏んでの散歩もわるくはないが、春先の散歩とは少し趣を異にする。 　散歩はやはり春先がいちばん。 　よその家の庭先の、ようやく咲き始めた梅や桃の枝ぶりを見あげながら、ブラブラ歩いて行くのは楽しい。

ゆっくりと一歩ごとに足の下の地面の感触を味わう風に歩を進める

両腕をぶらさげ、歩調に合せて呑気にその腕を、体の前で振りながら階段を登って来たボオイ

大きな体躯（たいく）を猿（ましら）のように軽くもてあつかって（綱を渡る）

何とか歩けることは歩けるのだが、雲の上を行くようにたよりない。

かこかこと鳴る誰かの下駄の音