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そして彼女は何ひとつ説明しないまま、家福の住む世界から消えていった。
村上春樹 / ドライブ・マイ・カー「女のいない男たち (文春文庫)」に収録 ページ位置:35% 作品を確認(amazon)
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訃報・知人を亡くす
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前後の文章を含んだ引用
......にいったい何が足りなかったんだ? 彼女が亡くなる数ヶ月前のことだ。しかし激しい苦痛に苛まれながら死と闘っている妻に向かって、そんなことはやはり口にできなかった。そして彼女は何ひとつ説明しないまま、家福の住む世界から消えていった。なされなかった質問と、与えられなかった回答。彼は火葬場で妻の骨を拾いながら、無言のうちに深くそのことを考えていた。誰かが耳元で語りかける声も聞こえないくらい深く......
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訃報・知人を亡くすの表現・描写・類語(生と死のカテゴリ)の一覧 ランダム5
わたしたちは、彼の死が心の中にもたらした透明な静けさを、それぞれ大切に抱えたまま別れた。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
木山省吾の死を知ったときには、すべてを失ったように慟哭した
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
僕は彼女を失ってしまった。生きているうちから少しずつ失い続け、最終的にすべてなくしてしまった。浸食によってなくし続けたものを、最後に大波に根こそぎ持って行かれるみたいに……。
村上春樹 / ドライブ・マイ・カー「女のいない男たち (文春文庫)」に収録 amazon
(訃報の)葉書を読み返し、念のために表も確認して、またしばらく文中の「他界」という文字を見つめていた。その言葉には、自分が知っている以外の、何か他の意味があっただろうかという風に。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
(これまで体験した人の死より同級生の)死は、もっとくっきりとした輪郭を持っていた。それを両手の上に載せて、重さを感じたり形を眺めたり香りをかいだりできそうだった。両手を離してそれが転げ落ちる時の、こつん、という音さえ聞こえそうな気がした。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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「生と死」カテゴリからランダム5
虫喰いの枯れ木が倒れるように死ぬ
水上 勉 / 雁の寺 amazon
(自殺した友子)そしてわかった。自分が実は友子を恨んでいるということ。あの夜彼女は自分の言いたいことだけ言い、思い残すことなくこの世を去り、智明の心だけがあの夜の中に置き去りにされたこと。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
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