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僕は彼女を失ってしまった。生きているうちから少しずつ失い続け、最終的にすべてなくしてしまった。浸食によってなくし続けたものを、最後に大波に根こそぎ持って行かれるみたいに……。
村上春樹 / ドライブ・マイ・カー「女のいない男たち (文春文庫)」に収録 ページ位置:77% 作品を確認(amazon)
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喪失感(大切なものを失う)
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......た。「あくまで想像するしかないことですが」 家福はしばらく沈黙を守っていた。できるだけ長く、ぎりぎりまでそれを引き延ばした。それから言った。「でも結局のところ、僕は彼女を失ってしまった。生きているうちから少しずつ失い続け、最終的にすべてなくしてしまった。浸食によってなくし続けたものを、最後に大波に根こそぎ持って行かれるみたいに……。僕の言ってる意味はわかるかな?」「わかると思います」 いや、おまえにはそんなことはわからないよ、と家福は心の中で思った。「僕にとって何よりつらいのは」と家福は言......
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喪失感(大切なものを失う)の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(弟が生まれてしばらくして曾祖父が死んだ。)弟を撫でているうち、この赤ちゃんを産んだのは曾祖父ではないか、との思いにとらわれ、彼は自分でもわけが分からず奇妙な気分に陥った。これがつまり、悲しいという気持なのだろうか、と自分に問いかけた。
小川 洋子 / 盲腸線の秘密「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
こうやってひとは死ぬんだと思った。残された者の両手にありあまるほどの「そのひと」を残したまま、そのひとはもう二度とひっくり返されることのない砂時計になる。やがて記憶はどんどんこぼれていく。両手に何もなくなっても、もう、そのままだ。
朝井 リョウ / 僕は魔法が使えない「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
悲痛さは、日々そのかたちが曖昧になって、少しずつ、音もなく崩れていっているように感じられた。時の流れの中に 零れ落ちていって、少なくとも心は軽くなってゆきつつある。そのお陰で、自分が危機から遠ざかりつつある安堵を覚えてはいたが、死の直後の恐ろしい寂しさとはまた違った、ゆっくりと染み入るような寂しさを、時折、からだの深い奥で感じた。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
彼が死んだ夜から私の心は別空間に移行してしまい、どうしても戻ってこれない。昔のような視点で、どうしても世界を見ることができない。頭が不安定に浮き沈みして、落ち着かずにぼんやりいつも重苦しい。
吉本 ばなな / ムーンライト・シャドウ「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
「誰かが死ぬと、残された人たちはみんな、その人にまつわるいろんな後悔を背負って生きていかなくちゃいけないんだね。」
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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訃報・知人を亡くすの表現・描写・類語(生と死のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(これまで体験した人の死より同級生の)死は、もっとくっきりとした輪郭を持っていた。それを両手の上に載せて、重さを感じたり形を眺めたり香りをかいだりできそうだった。両手を離してそれが転げ落ちる時の、こつん、という音さえ聞こえそうな気がした。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
彼の死の事実を受け止めるには少し覚悟がいった。何より彼は若すぎたし、死に方が悲劇的だった。女の人と港をドライブしていて、車ごと海に落ちて、そして死んだ。あまりにも簡単すぎる気がした。つなぎ目のない時間の輪の一点で車が海に落ち、その瞬間に彼は〝存在する〟の領域から〝存在しない〟の領域へジャンプしてしまった。もう少し、その二つの領域の間にためらいのようなものが漂っていてもいいのに、と思った。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
わたしたちは、彼の死が心の中にもたらした透明な静けさを、それぞれ大切に抱えたまま別れた。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
僕は彼女を失ってしまった。生きているうちから少しずつ失い続け、最終的にすべてなくしてしまった。浸食によってなくし続けたものを、最後に大波に根こそぎ持って行かれるみたいに……。
村上春樹 / ドライブ・マイ・カー「女のいない男たち (文春文庫)」に収録 amazon
そして彼女は何ひとつ説明しないまま、家福の住む世界から消えていった。
村上春樹 / ドライブ・マイ・カー「女のいない男たち (文春文庫)」に収録 amazon
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「悲しみ」カテゴリからランダム5
絶望的なものが満ち潮のように押しよせてきた
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
まだ懐かしいと感じるほど、彼の存在が薄れてはいない
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
「生と死」カテゴリからランダム5
(死にかけに見た記憶)そんなことはまるでまるで夢のやうでした。
宮沢賢治 / ひかりの素足
(死刑制度。不幸な生い立ちが原因で罪を犯した死刑囚に対して)国家が、その法秩序からの逸脱を理由に、彼を死刑によって排除し、 宛ら に、現実があるべき姿をしているかのように取り澄ます態度を、城戸は間違っていると思っていた。立法と行政の失敗を、司法が、逸脱者の存在自体を なかったこと にすることで帳消しにする、というのは、欺瞞以外の何ものでもなかった。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
死を前にして胸しめつけられるような感情を味わっている
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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