辛抱ってのは、辛さを抱きしめるってことだからな。今はひとりで抱きしめろよ!
水道橋博士「藝人春秋 (文春文庫)」に収録 ページ位置:10% 作品を確認(amazon)
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我慢・辛抱・耐える
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......師匠と話すようになった。 言葉を失った父の代わりに石倉師匠が話しているような錯覚に何度もとらわれた。「芸能界は親が死んでもトチれない世界なんだよ。だから辛抱だ。辛抱ってのは、辛さを抱きしめるってことだからな。今はひとりで抱きしめろよ!」 石倉師匠のシンプルながらも筋の通った、芸人の信条が心に響いた。「辛抱ってなぁ我慢とは違うんだよ、分かるかい?」「腹で生きずに背で生きる」──石倉師匠のその台......
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感情以上に意志を働かして、それを 圧 えつけてしまう
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
今週に入ってから昭子は須藤に四度電話をかけている。須藤から電話がかかって来たのが二回。今日また昭子のほうから電話をかけると比率は五対二になってしまう。《…略…》これでは女のほうが馬鹿みたいに入れあげているようで、昭子は自分の心に対して申し訳がつかない。《…略…》ここはやはり須藤からの電話を待つべきだろう。 そうすれば比率も四対三になる。四対三なら、ここ数日のうちに急に須藤の声が聞きたくなったときにもそれほど抵抗感なく電話をかけることができる。その心理は……そう、手術を受けた患者が鎮痛剤の適用を、もっと苦しくなるときのために残して置く感覚にどこか似ていた。
阿刀田 高 / 狂暴なライオン「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
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