(壊れかかった街)雨や風が蝕 んでやがて土に帰ってしまう、と言ったような趣きのある街で、土塀 が崩れていたり家並が傾きかかっていたり――勢いのいいのは植物だけで、時とするとびっくりさせるような向日葵 があったりカンナが咲いていたりする。
梶井基次郎 / 檸檬 ページ位置:9% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......にしてもよそよそしい表通りよりもどこか親しみのある、汚い洗濯物が干してあったりがらくたが転がしてあったりむさくるしい部屋が覗 いていたりする裏通りが好きであった。雨や風が蝕 んでやがて土に帰ってしまう、と言ったような趣きのある街で、土塀 が崩れていたり家並が傾きかかっていたり――勢いのいいのは植物だけで、時とするとびっくりさせるような向日葵 があったりカンナが咲いていたりする。 時どき私はそんな路を歩きながら、ふと、そこが京都ではなくて京都から何百里も離れた仙台とか長崎とか――そのような市へ今自分が来ているのだ――という錯覚を起こそう......
単語の意味
趣(おもむき)
趣・・・しっとりと落ち着いて、心惹かれる特徴や雰囲気。そのものがもっている、自然とかもし出される(いい)雰囲気。ずいぶん昔のものなのに、手入れがされているさま。風情(ふぜい)。
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山が 剔 れたあとの崖下の土地
阿刀田 高 / 裏側「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
山と山との間に瘤のような小高い岡があって
井伏 鱒二 / 珍品堂主人 amazon
住吉橋を過ぎると、道の 両脇 に材木屋の看板が並び始めた。暗い道は、材木屋に包まれるように真っすぐ伸びていた。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
(サイパン)花の色が違う。陽の成り立ちからして違う。きっとここでは、考え方も違う。強さとか、明度とか。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
東洋の海に浮かんだ宝の小箱のようなその島
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
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