(かの女には)非常に白痴的な部分があり、その部分の飛躍がかの女の交感の世界から或る人々を拉 し来 って、年齢の差別や階級性を自他共に忘れさせる――或る時期からの逸作は、かの女を妻と思うより娘のように愛撫 し、むす子は妹のように労 り、現に規矩男という怜悧 な意志を持つこの若者までが、恰 も同年輩か寧 ろあるときは年少の女性に向うような態度をかの女にとって当然としている。
岡本かの子 / 母子叙情 ページ位置:62% 作品を確認(青空文庫)
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知的障害
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前後の文章を含んだ引用
......のである。かの女の肉体(かの女の肉体も事実年齢より十歳以上も若いのだと、かの女の薬にいつも小児散を盛り込む或る医者が云った)か精神のはげしい知性のほかの一個所に非常に白痴的な部分があり、その部分の飛躍がかの女の交感の世界から或る人々を拉 し来 って、年齢の差別や階級性を自他共に忘れさせる――或る時期からの逸作は、かの女を妻と思うより娘のように愛撫 し、むす子は妹のように労 り、現に規矩男という怜悧 な意志を持つこの若者までが、恰 も同年輩か寧 ろあるときは年少の女性に向うような態度をかの女にとって当然としている。その他の友達。そしておかしなことにはかの女自身まで――かの女には二十四五歳位からの男女を見ると、むしろ自分より実世界に於ける意志も生活能力も偉 れた人のように往々......
単語の意味
怜悧・伶俐(れいり)
拉く(しだく)
怜悧・伶俐・・・利口なこと。賢いこと。頭の回転が速いこと。また、そのさま。
拉く・・・1.押してぐちゃぐちゃにする。くだく。
2.荒れる。乱れる。乱れ散る。
2.荒れる。乱れる。乱れ散る。
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知的障害の表現・描写・類語(思考・頭の中の状態のカテゴリ)の一覧 ランダム5
白痴の子が赤ん坊同様
有島武郎 / 或る女
(白痴)かの女が二十歳近くも年齢の違う規矩男と歩いていて殆 ど年齢の差も感ぜず、また対者にもそれを感ぜしめない範囲の交感状態も、かの女の稚純な白痴性がかの女の自他に与える一種の麻痺状態 ではなかろうか
岡本かの子 / 母子叙情
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つまり智慧 の足りないところから湧 いた孑孑 のようなもの
夏目漱石 / 吾輩は猫である
先の企みが、断片的に出てきたが、それは今の場合、浮游物のようなものだった。
松本 清張 / 真贋の森「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
無力同然……太陽の前の星の如く拝跪 しなければならない。
夢野久作 / ドグラ・マグラ
「人間関係・地位」カテゴリからランダム5
小川さんたちの無視が静かなものだったせいか、私は思ったほどには傷つけられずに済んだ。 時折吐き捨てられる「死ね」「きもい」という言葉だけが、しんしんと、教室の中を降ってくる。その言葉は、静かに、私の内側に降り積もっていく。 その雪みたいな言葉たちと、無視という沈黙。私がされたのはそれだけで、何かとからかわれて標的にされている馬堀さんに比べれば、随分とラッキーだった。 枠から外れてみると、学校は随分と静かな世界だった。あんなに賑やかだった休み時間の騒ぎ声も、テレビの砂嵐のような意味のない雑音に変わった。 騒がしくてあわただしい教室の中で、私の時間だけが、やけにゆっくりと流れていた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
あなたは小さな生き者をいじめる猫のように《…略…》今、最もみだらな快感を味わっておられる。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
「才能・技量」カテゴリからランダム5
石のような無知な僧侶
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
愚かで、滑稽で、哀れみを越えて、愛らしさすらあった。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
サランラップだってうまく切れない
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
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