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まだ誰かの泣く声がする。おれは縄を解きながら、じっと耳を澄ませて見た。が、その声も気がついて見れば、おれ自身の泣いている声だった
芥川龍之介 / 藪の中 ページ位置:94% 作品を確認(青空文庫)
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泣く・涙を流す
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前後の文章を含んだ引用
......、一箇所だけおれのなわを切った。「今度はおれの身の上だ。」――おれは盗人が藪の外へ、姿を隠してしまう時に、こうつぶやいたのを覚えている。その跡はどこも静かだった。いや、まだ誰かの泣く声がする。おれは縄を解きながら、じっと耳を澄ませて見た。が、その声も気がついて見れば、おれ自身の泣いている声だったではないか? (三度みたび、長き沈黙)  おれはやっと杉の根から、疲れ果てた体を起した。おれの前には妻が落した、小刀さすがが一つ光っている。おれはそれを手にとると、一突きに......
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はらはらと涙を落しながら
芥川龍之介 / 杜子春
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