神戸の海の、そのちょうど水平線のあたりに、一隻 の船が停まっていた。赤と黄色の 灯 は、 空漠 たる闇の中でひどくひそやかに静止していた。
宮本 輝「道頓堀川（新潮文庫）」に収録 ページ位置：27% 作品を確認（amazon）
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......言った。武内の腰のあたりが熱くなり、喉も何かで押しふさがれたようになった。武内は、「いま、どこにいてるねん？」 と問いかける自分の声が強く震えているのを感じた。神戸の海の、そのちょうど水平線のあたりに、一隻の船が停まっていた。赤と黄色の灯は、空漠たる闇の中でひどくひそやかに静止していた。「五日前に、ひょっこり俺のとこに顔を出してなァ……。どこにも帰るとこがない言うから、俺の知り合いのおばはんの家で、ひとまず預かってもろてるんや」「政夫も一緒か？......
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ポンポン船が通り過ぎていき、やがて押し寄せて来た波が、舟の家を大きく揺すった。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河（新潮文庫）」に収録 amazon
水が板のような堅い感じを船底にぶつけ、そのたびに船が浮かび上がる
幸田 文 / おとうと amazon
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