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(家の中が酸っぱい)驚いたのは匂いである。 ひどく酸っぱい。 九鬼本は、はじめ、五目ずしでも大量に作ったのかと思った。《…略…》酸っぱい、といったところで、ツーンと鼻にくるような酸っぱさではない。 夏場は、たきたてのご飯に酢をまぜ、 団扇 であおいでいるときのような、蒸れたような酸っぱさだった。 ひんやりした時候になると、 海苔巻 や 稲荷 ずしの匂いになった。 うち全体が匂うのである。 いや、うちも人も、酸っぱい匂いがした。
向田邦子 / 酸っぱい家族「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 ページ位置:68% 作品を確認(amazon)
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粗末な建物
生活苦・貧しい暮らし(日々)
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前後の文章を含んだ引用
......が、まだ東京には焼跡も多かったから、陣内写真館のような住まいはそう珍しいとはいえなかったが、近い親戚に焼け出されのない九鬼本には、驚くことばかりであった。 一番驚いたのは匂いである。 ひどく酸っぱい。 九鬼本は、はじめ、五目ずしでも大量に作ったのかと思った。営業用の現像液の匂いかと思ったが、そうではないらしかった。 酸っぱい、といったところで、ツーンと鼻にくるような酸っぱさではない。 夏場は、たきたてのご飯に酢をまぜ、団扇であおいでいるときのような、蒸れたような酸っぱさだった。 ひんやりした時候になると、海苔巻や稲荷ずしの匂いになった。 うち全体が匂うのである。 いや、うちも人も、酸っぱい匂いがした。 この茶碗も、どこかの焼跡から拾って来たのではないかと思い、お代りを辞退して、おもてへ出ると、陣内が追いかけてくる。 小柄な体をすり寄せ、九鬼本のポケットに封筒......
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粗末な建物の表現・描写・類語(家・建物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
かなり古い家らしく壁は剥 げ落ち、柱は虫に食われ、ほとんど修理の仕様も無いほどの茅屋
太宰治 / 人間失格
外納屋に、手を入れたくらいな、茅 ら屋
吉川英治 / 雲霧閻魔帳
土壁のないバラックで、昔は物置であったのかもしれない。
林芙美子 / 新版 放浪記
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生活苦・貧しい暮らし(日々)の表現・描写・類語(暮らし・生活のカテゴリ)の一覧 ランダム5
キャベツばっかり食べている。ソースをかけて肉なしのキャベツをたべる。
林芙美子 / 新版 放浪記
細々とその日の口をぬらす
宇野 千代 / おはん amazon
イエスであろうと、お釈迦 さまであろうと、貧しい者は信ずるヨユウなんかないのだ。宗教なんて何だろう!
林芙美子 / 新版 放浪記
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「暮らし・生活」カテゴリからランダム5
同じ一日の同じ繰り返しだった。どこかに折り返しでもつけておかなければ間違えてしまいそうなほどの一日だ。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
蒼空までが間が抜けたような気がします
岡本かの子 / 巴里祭
家事や育児という際限ない日常リアリズムの中に埋没して暮らす
瀬戸内 寂聴 / 愛すること―出家する前のわたし amazon
生活が細い強靭な根をのばす
柴田 翔 / 燕のいる風景 amazon
「家・建物」カテゴリからランダム5
蚕が桑を食べている音が四六時中雨のようにしている家
小川国夫 / 小川国夫作品集〈第2巻〉(里にしあれば) amazon
素朴でなまなましい生命力を感じさせる陽気なライブ・ハウス
五木 寛之 / ワルシャワの燕たち amazon
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