(凍った波)岸に近く、寄せた波がそのまま弓なりに凍っていた。
志賀 直哉 / プラトニック・ラヴ「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 ページ位置:81% 作品を確認(amazon)
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波
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前後の文章を含んだ引用
......時々見える海のほかは見渡すかぎり雪だった。四、五尺の雪だ。鳥取の手前の湖山池、この辺の眺めは広々とことに美しかった。湖の水は一面に雪を含んで薄墨色に凍っていた。岸に近く、寄せた波がそのまま弓なりに凍っていた。気まぐれな烏が一羽、湖畔の楊の木から楊の木へ気楽そうに飛び移っていた。餌などあるわけはないのだから、遊んでいるのだろうと私は考えた。枯木の烏よりは潤いがあり、ま......
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波の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
岸へ押し寄せ押し寄せする潮が全世界をめぐる生命の脈搏のように、間をおいては響き砕けていた。
島崎 藤村 / 夜明け前 (第1部 上) amazon
退いてゆく前の波に腰を砕かれて泡立つ時、その音は、夥しい水泡の破裂音を束ねて一挙に膨らむ。盛り上がり、そのまま湾曲する海岸線にぶつかってくる。
高樹のぶ子 / その細き道(追い風) amazon
アルプスの氷山のようにモリモリとむくれ上ってくる波
小林多喜二 / 蟹工船
海水が東へ東へと落ちつきなく 苛波 を立て立て流れている
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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川の水が土手より遥かに低く闇の底にしらしらと薄く光る
長塚 節 / 土 amazon
塩からい風がやっと司祭の肉のそげ落ちた頰をなぜる。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
海一面、三角波の頂きが白いしぶきを飛ばして、無数の兎があたかも大平原を飛び上っているようだった。
小林多喜二 / 蟹工船
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