(死後の肉体の変化が描かれた絵)皆殆ど同じ姿勢の寝姿で、只違うのは、初めから終りへかけて姿が変って行っている事である。 すなわち巻頭の第一番に現われて私を驚かした絵は、死んでから間もないらしい雪白 の肌で、頬や耳には臙脂 の色がなまめかしく浮かんでいる。
※備考※ これ以降に死体が腐っていくさまが描写されている
夢野久作 / ドグラ・マグラ ページ位置:79% 作品を確認(青空文庫)
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死人・遺体
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前後の文章を含んだ引用
......美人の全長一尺二三寸と思われる裸体像で、周囲が白紙になっているために空間に浮いているように見える。それが間隔三四寸を隔てて次から次へと合わせて六体在るのであるが、皆殆ど同じ姿勢の寝姿で、只違うのは、初めから終りへかけて姿が変って行っている事である。 すなわち巻頭の第一番に現われて私を驚かした絵は、死んでから間もないらしい雪白 の肌で、頬や耳には臙脂 の色がなまめかしく浮かんでいる。その切れ目の長い眼と、濃い睫毛 を伏せて、口紅で青光りする唇を軽く閉じた、温柔 しそうなみめかたちを凝視していると、夫のために死んだ神々しい喜びの色が、一パイにか......
単語の意味
臙脂色・燕脂色(えんじいろ)
艶めかしい・艶かしい・嬌しい(なまめかしい)
寝姿(ねすがた)
頬(ほお・ほほ)
雪白(せっぱく)
臙脂色・燕脂色・・・黒がかった赤色。濃い暗めの赤色。
艶めかしい・艶かしい・嬌しい・・・女性が、性的魅力を体全体からかもし出していて美しい。女性の容姿やしぐさや表情が性的魅力にあふれている。色っぽい。婀娜(あだ)っぽい。コケティッシュ。
寝姿・・・寝ている姿。
頬・・・顔の一部。顔の両脇で、口の真横にあるやわらかい部分。ほっぺ。ほっぺた。
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屍体はみな腐爛 して蛆 が湧き、堪 らなく臭い。それでいて水晶のような液をたらたらとたらしている。
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気も狂わんばかりの喪失感
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