枯葉は、晩秋の朝の日射しの中で、狭卵形の葉先の深い 黄褐色おうかっしょく と真ん中あたりの鮮やかな黄色と根元にわずかに残る緑色と、どの色も美しく小さく輝かせていた。細い縁どりの 鋸歯 に虫食いが二つ。

風が吹き出たらしく、杉森（すぎもり）がごうごうと鳴りを立てて、枯れ葉が明るい障子に飛鳥のような影を見せながら、からからと音を立ててかわいた紙にぶつかった。

外の道を、秋風が、さあっと、木の葉を掃いて行った。

枯れ葉が積もった地面はふかふかだ。水分と養分をたっぷり含んでいることが地下足袋ごしに伝わってくる。

寺内の銀杏（いちょう）や橡（とち）が一晩の中に葉を落したので、庭は黄金（きん）を敷いたように明るい。

秋の名残をとどめたまっすぐな白い雲だ。

秋の陽はつるべ落としで、黄ばんだ陽が白く乾き、波のうねりがひどく凄じくなって来た。

玄関がぱっと明るむように色鮮やかなくれないの紅葉

水の味も身にしみる秋

白い霧とともに山から下りてきた神さまたちは、そっと稲に触れ、葉をやわらかく湿らせて、季節を確実に進めていたのだった。