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(ページをめくる)ページのめくれる微かな風に乗って、どこからともなく埃が舞い上がる。
小川 洋子 / 亡き王女のための刺繡「口笛の上手な白雪姫」に収録 ページ位置:96% 作品を確認(amazon)
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......こったに過ぎなかった。小さな針の穴の連なりだけを残し、私の名前は宙に溶けて消えてしまった。「音符が平凡すぎるとなると、さて……」 りこさんが更に図案集をめくる。ページのめくれる微かな風に乗って、どこからともなく埃が舞い上がる。私はよだれかけの紐を蝶々結びにし、解き、また結び直す。渡り廊下に射す光の加減で、日が空の高いところへ昇ろうとしているのが分かるが、日差しはどうしても店の奥にまで......
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