少女のうなじが鳩の背のようにしなやかにまるっこく、そして少しずつ動いていた

首筋が白くて綺麗

汗の滲んだ白いうなじ

領脚（えりあし）をすっきりと見せて奥様風にたくしあげた髪

少女のうなじが鳩の背のようにしなやかにまるっこく動く

彼の顔は老いに冒されてはいたが、熟しきっていて、男くさかった。

ユキの顔や体には厚い肉がへばりついている。毛を 栗色 に染め、 爪 にも薄くマニキュアを施して、白目の勝った大きな目元にかすかにアイシャドーを塗っている。それがかえって、ユキを年齢よりも四、五歳 老けて見せるのである。

４０代なのに６０代の表情

四十四歳であったはずだが、私には六十の婆さんに見えた。

若い役者がぎごちなく老け役を演じているようなある種の 滑稽 さを感じさせた

何かを探すように、しきりに周囲を見回している。

満足そうにうなずいて

顔を隠すように深々とうなだれて、白い首すじが現れる

カエルのように不気味に動くのど

感泣してうなじを垂れる

老いぼれる

祖母が沼から這い上がるようにしてゆっくりこちらに向かって（階段を）登ってくる。薄暗い階段を、ノソノソと腰の曲った白髪の老婆が登ってくる様は悪夢のようであった。祖母は階段を登り終えると、彼に向かって「このたびは遠い所からようこそおいで下さいました。孫をよろしくお願い致します」と言い残し、登ってくる時と同じ姿勢のまま、ノソノソと階段を降りていった。”沼に住む亀が、老婆に姿を化えて人間界にお告げにやってきた”というような、奇怪なムードにあたり一面包まれ、そのまま時は過ぎた。

（じっと座っている）老人は置物のように尚 皆 の方へ背を向けたままでいた。

髪も薄く白く、 土気色 の肌に、はっきり刻まれた皺

なべ料理はさっぱりしすぎて敬遠していたのに、なにかというと「おなべにしようか」というふうになったのは、年のせいであろうか。