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気がつくと、年とった動物が、少しずつ、目に見えないほど少しずつ分厚く肥えふとってゆくように実りはじめている。
向田邦子 / りんごの皮「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 ページ位置:91% 作品を確認(amazon)
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幸せ・満足な気持ち
平和(平凡)に暮らす・穏やかな日々
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前後の文章を含んだ引用
......正反対である。 ほどほどの身のまわり。ほどほどの就職。ほどほどの妻や子供たち。手にあまるものは見ないで暮す菊男のやり方を、時子は歯がゆいと思ったこともあったが、気がつくと、年とった動物が、少しずつ、目に見えないほど少しずつ分厚く肥えふとってゆくように実りはじめている。今夜、団地の換気扇から流れていた魚を焼く匂いは、その実りの匂いであろう。 垂れ下ったりんごの皮は、おもてが赤く、裏は青く白い。ふちにうす赤い紅が滲んでいる。時子......
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幸せ・満足な気持ちの表現・描写・類語(喜びのカテゴリ)の一覧 ランダム5
二人は笑った。幸せだと思い込めば思えるような気がした。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
(幸福とは)道端にはしきりにそこいら中の人を呼びとめて「幸福とは何だと思いますか」と必死にたずねている人達がいた。《…略…》しかしそのおかげで、急ぐ私の心には一瞬、幸福を想う残像がすーっと桃色の尾をひいた。幸福をうたういくつかの名曲のメロディーも、次々と心に流れたような気がした。 しかし、と私は思った。 決して届かないふうなところに、もっと強く金色に光るイメージがあって、みんなが本当に欲しいのはそれなような気がする。希望とか、光とかを全部集めたよりももっと強烈なもの。 それは、駅前で幸福についてたずねているとどんどん逃げていってしまい、お酒を飲みすぎるとぐんと近づいてきて、あたかも手に取れそうに思えるもの。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
次の朝になって自分が死んで見いだされようとも満足だと思った。
有島武郎 / 或る女
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平和(平凡)に暮らす・穏やかな日々の表現・描写・類語(暮らし・生活のカテゴリ)の一覧 ランダム5
大して、興奮したり胸がどきどきしたり笑い転げたりすることもない、慎ましい夜だ。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
京都という街は、確かに時間がゆっくりとすぎていく。このテンポに合わせて生きていけば、もうあせることはないような気がする。やわらかく年齢を重ねることができるような気がする。
林 真理子 / 最終便に間に合えば amazon
自分のような平凡に過した半生の中にも二十年となれば何かその中に、大まかに脈をうつものが気付かれるような気のするのを感じていた。
岡本かの子 / 東海道五十三次
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「喜び」カテゴリからランダム5
裸でいるような、そんな解放感
吉田修一「悪人」に収録 amazon
「暮らし・生活」カテゴリからランダム5
自分が自分でないようななんだか不思議な気分を味わっています。うまく説明できないんだけれど、そうね、ぐっすりと眠りこんでいるあいだに、誰かの手でいったんばらばらの部品に分解されて、それからまた大急ぎで組み立てられたみたいな感じ
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
今までの生活 むきは、細く長くだった。
林芙美子 / 新版 放浪記
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