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時間をかけて数ページ読み進んだところで、本の内容がまったく頭に入っていないことに気がついた。ふたつの目はしっかりと行を追っているのに、意識はどこか別の領域をさまよっている。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:71% 作品を確認(amazon)
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気が散る・集中できない
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......ーパーバックをとり出し、つづきを読み始めた。町の書店で買い求めた新刊のミステリーだ。観覧車の照明が一晩じゅうつけっぱなしになっているのは幸運なことだった。しかし時間をかけて数ページ読み進んだところで、本の内容がまったく頭に入っていないことに気がついた。ふたつの目はしっかりと行を追っているのに、意識はどこか別の領域をさまよっている。 ミュウはあきらめて本を閉じた。そして顔を上げ、夜の空を眺めた。うっすらと曇っているらしく星の姿は見えない。三日月もかすんでいる。照明のかげんで、観覧車のはめ込......
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