(たくさんのカジカガエルの鳴き声が鳴り響く)この地球にはじめて声を持つ生物が産まれたのは石炭紀の両棲類 だということである。だからこれがこの地球に響いた最初の生の合唱だと思うといくらか壮烈な気がしないでもない。実際それは聞く者の心を震わせ、胸をわくわくさせ、ついには涙を催させるような種類の音楽である。
梶井基次郎 / 交尾 ページ位置:86% 作品を確認(青空文庫)
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虫の音
蛙(かえる)
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前後の文章を含んだ引用
......波頭の間から高まって来て、眼の下の一団で高潮に達しる。その伝播 は微妙で、絶えず湧 き起り絶えず揺れ動く一つのまぼろしを見るようである。科学の教えるところによると、この地球にはじめて声を持つ生物が産まれたのは石炭紀の両棲類 だということである。だからこれがこの地球に響いた最初の生の合唱だと思うといくらか壮烈な気がしないでもない。実際それは聞く者の心を震わせ、胸をわくわくさせ、ついには涙を催させるような種類の音楽である。 私の眼の下にはこのとき一匹の雄 がいた。そして彼もやはりその合唱の波のなかに漂いながら、ある間 をおいては彼の喉 を震わせていたのである。私は彼の相手がどこにいるの......
単語の意味
催す(もよおす)
胸(むね)
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虫の音の表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(みみず)暗い土の上に水のような色でも広がるように、じいいという煙のような声が立ち浸みている。
鈴木 三重吉 / 桑の実 amazon
何万という虫の声が地鳴りのように湧き起こる草原や林だけになった。《…略…》虫だけが地表を被いつくしていた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
川の音をかき消すほど、虫は大合唱だ。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
そとでは虫が織るようにないている
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
虫の音の雨のようにみちた一夜
久保田 万太郎 / 市井人「市井人・うしろかげ (1950年)」に収録 amazon
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蛙(かえる)の表現・描写・類語(水中の生き物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(いぼ蛙の)口の尖った意地の悪そうな、あの河童のような顔
志賀 直哉 / 菜の花と小娘「志賀直哉小説選〈1〉」に収録 amazon
荒海に逆巻く波濤の怒号のような蛙の鳴き声
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
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砂の亡霊のような小蟹
中島 敦 / 環礁 ——ミクロネシヤ巡島記抄—— amazon
小蛙は二間も上の枝の上に、青い小さな一点となって、ちょうど草の葉っぱのようにくっついた。
坪田 譲治 / 風の中の子供 amazon
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耳の底で潮騒のように鳴り響いている蝉の声
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
(蝉の)羽全体が植物の芽生えに髣髴(ほうふつ)していた。
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
日光に撒かれた虻 の光点が忙しく行き交う
梶井基次郎 / 冬の日
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