TOP > 人物表現 > 頬・ほっぺ > 痩せた顔・こけた頬
TOP > 人物表現 > 体つき・体型・体全体の様子 > 痩せすぎた体形
葉子だけは春が来てもやせた。来るにつけてやせた。ゴム毬 の弧線のような肩は骨ばった輪郭を、薄着になった着物の下からのぞかせて、潤沢な髪の毛の重みに堪 えないように首筋も細々となった。やせて悒鬱 になった事から生じた別種の美――そう思って葉子がたよりにしていた美もそれはだんだん冴 え増さって行く種類の美ではない事を気づかねばならなくなった。その美はその行く手には夏がなかった。寒い冬のみが待ち構えていた。
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:52% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
痩せた顔・こけた頬
痩せすぎた体形
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......た。貞世は生命そのものだった。秋から冬にかけてにょきにょきと延び上がった細々したからだには、春の精のような豊麗な脂肪がしめやかにしみわたって行くのが目に見えた。葉子だけは春が来てもやせた。来るにつけてやせた。ゴム毬 の弧線のような肩は骨ばった輪郭を、薄着になった着物の下からのぞかせて、潤沢な髪の毛の重みに堪 えないように首筋も細々となった。やせて悒鬱 になった事から生じた別種の美――そう思って葉子がたよりにしていた美もそれはだんだん冴 え増さって行く種類の美ではない事を気づかねばならなくなった。その美はその行く手には夏がなかった。寒い冬のみが待ち構えていた。 歓楽ももう歓楽自身の歓楽は持たなくなった。歓楽の後には必ず病理的な苦痛が伴うようになった。ある時にはそれを思う事すらが失望だった。それでも葉子はすべての不自然......
単語の意味
堪えない(たえない)
冴える・冱える(さえる)
髪の毛(かみのけ)
首筋・頸筋(くびすじ)
堪えない・・・気持ちを抑えられない。感情を表に出さずにいられない。
髪の毛・・・頭部に生える毛。毛髪(もうはつ)。髪。
首筋・頸筋・・・首の両側から後部にわたる部分。首の後ろ側の部分。項(うなじ)。襟首(えりくび)。首根っ子・頸根っ子(くびねっこ)。
ここに意味を表示
痩せた顔・こけた頬の表現・描写・類語(頬・ほっぺのカテゴリ)の一覧 ランダム5
このカテゴリを全部見る
痩せすぎた体形の表現・描写・類語(体つき・体型・体全体の様子のカテゴリ)の一覧 ランダム5
体の逞 しい姉の夫は人一倍痩 せ細った僕を本能的に軽蔑 していた。
芥川竜之介 / 歯車
葉子は神の締 め木 にかけられて、自分のからだが見る見るやせて行くのを自分ながら感じた。
有島武郎 / 或る女
胸は、肋骨 が一つ一つムキ出しに出ていた。
小林多喜二 / 蟹工船
雛人形のように肉の薄い、洋服の似合わない女の子だった。
向田邦子 / 三枚肉「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「頬・ほっぺ」カテゴリからランダム5
「顔」カテゴリからランダム5
「体つき・体型・体全体の様子」カテゴリからランダム5
秋だというのに、ずいぶんな薄着で、ただ、男の引き締まった身体には寒々しさは微塵もない。
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
腹回りも立派になったが、
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
頬・ほっぺ の表現の一覧
顔 の表現の一覧
体つき・体型・体全体の様子 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ