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前後の文章を含んだ引用

......角帽子に滲んだかすかな防腐剤の匂いをともなって。本の背表紙の文字は……そう、たしかに〝動物の剝製の作り方〟……と読めた。　私はわけもなく今来た道を振り返った。　ナポレオンの館は暗澹たる闇に包まれ、四階の片隅にのみひっそりとあかりがともり続けていた。遠い歴史の灯のように。　約束のみりん干しはいまだに私のところに届かない。村瀬氏が立ち去って以来、ただの一度も……。......

単語の意味

暗澹（あんたん）

暗澹・・・１．暗くて澹（しず［＝静］）かなさま。雰囲気が暗く沈んでいるさま。薄暗くてぼんやりしているさま。どんより。
２．見通しが悪く、将来に希望が見えず不安な感じ。
「澹」は訓読みで「しず（か）」と読める。