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何の たの しみもない漁村
浅田次郎 / ラブ・レター「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 ページ位置:69% 作品を確認(amazon)
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田舎(いなか)
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前後の文章を含んだ引用
......ーツクの海に潮が引くと、湖の沖には中瀬が現れた。漁民たちが糧とする、豊饒な浅蜊と牡蠣の島だ。 外海に流氷が押し寄せても、湖は決して凍ることなく干満をくり返した。何の娯しみもない漁村だが、人々は飢えることがなかった。 岸に向かって櫓を操りながら、兄が言う。(したって吾郎、おめえの嫁さんはべっぴんだな。東京で二十年も探した甲斐があったな) 浜......
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