山が物言わんばかりに生きてると見える君の目には、この生物はかえって死物のように思いなされる。ましてや平原のところどころに散在する百姓家などは、山が人に与える生命の感じにくらべれば、惨 めな幾個かの無機物に過ぎない。
※備考※ 偉大な山。この生物 → 八合目あたりを舞う鷲
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:85% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
山
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......を定めてよく見ると、長く伸ばした両の翼を微塵 も動かさずに、からだ全体をやや斜めにして、大きな水の渦 に乗った枯れ葉のように、その鷲は静かに伸びやかに輪を造っている。山が物言わんばかりに生きてると見える君の目には、この生物はかえって死物のように思いなされる。ましてや平原のところどころに散在する百姓家などは、山が人に与える生命の感じにくらべれば、惨 めな幾個かの無機物に過ぎない。 昼は真冬からは著しく延びてはいるけれども、もう夕暮れの色はどんどん催して来た。それとともに肌身 に寒さも加わって来た。落日にいろどられて光を呼吸するように見え......
ここに意味を表示
山の表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
無口な温情をもって見守ってくれる 「お山」
石坂 洋次郎 / お山「わが日わが夢 (1959年) (新潮文庫)」に収録 amazon
(雪をまとった山)くもの巣のように白をまとった山々がしんと存在していた。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
山の姿が、淡墨で刷いたように霧につつまれる
徳田 秋声 / あらくれ amazon
こめかみを押しつけるような冬山の森厳な沈黙
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
どこまでも撫 で肩 の柔かい線
岡本かの子 / 東海道五十三次
このカテゴリを全部見る
「地上・陸地」カテゴリからランダム5
窓の外には冷やかな初秋の闇が広がっていた。地上には黄色い小さな街の灯がどこまでも連なっている。上から眺めていると、それはたしかに踏みつぶされるのを待っているように見えた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
二人は並んだ顔が景色に透けて、車窓を夜と共に走ってゆくのを見つめ合った。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
地上・陸地 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ