住人の大半は六十歳以上だ。生活用品を売っている店は一軒しかない。郵便局も学校もない。切手を買ったり小包を出したりしたければ、手紙を配達しにくる郵便局員に頼む。宅配便は、中地区まで行って出すしかない。ちょっとした買い物をしたいときは、山をいくつも越えて久居という町まで車で行く。 不便を絵に描いたような場所だ。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 ページ位置:5% 作品を確認(amazon)
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田舎(いなか)
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前後の文章を含んだ引用
......がぽつぽつとあり、百人ぐらいが住んでいる。家の裏手の小さな畑で、家族で食べるぶんだけの野菜が育てられている。川べりのわずかな平地を利用して、水田が拓けている。 住人の大半は六十歳以上だ。生活用品を売っている店は一軒しかない。郵便局も学校もない。切手を買ったり小包を出したりしたければ、手紙を配達しにくる郵便局員に頼む。宅配便は、中地区まで行って出すしかない。ちょっとした買い物をしたいときは、山をいくつも越えて久居という町まで車で行く。 不便を絵に描いたような場所だ。 ヨキは狭い橋を渡り、一軒の家の庭先に軽トラを停めた。「おやかたさんに挨拶に行くで」 おやかたさん? 時代錯誤な言葉に驚いていると、ヨキはすぐに庭から出て、ゆる......
単語の意味
軒(のき)
軒・・・屋根の端の下にさがった部分で、建物の外壁より突き出ている部分。
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田舎(いなか)の表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
相変わらずの田園風景だった。灰色の砂利に、刈り株だけの田圃、空は雲を散らしている。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
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「地上・陸地」カテゴリからランダム5
ほとんどあるかないかのわずかな起伏が、平原に掃いたような陰翳を曳(ひ)く
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
何の 娯 しみもない漁村
浅田次郎 / ラブ・レター「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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