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広い部屋だった。広く、静かで、古い納屋のような匂いがした。子供の頃かいだことのある匂いだった。古い家具や見すてられた敷物のかもしだす古い時間の匂い。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:78% 作品を確認(amazon)
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使われていない部屋・部屋主がなくなった部屋
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......。 ブラインドが長いあいだ閉めきられていたせいで家の中は不自然なくらい薄暗く、目がなじむまでにしばらく時間がかかった。薄暗さが部屋の隅々にまで浸み込んでいた。 広い部屋だった。広く、静かで、古い納屋のような匂いがした。子供の頃かいだことのある匂いだった。古い家具や見すてられた敷物のかもしだす古い時間の匂い。後手でドアを閉めると風の音がぴたりと消えた。「こんにちは」と僕は大声で叫んでみた。「誰かいませんか」 もちろん叫ぶだけ無駄だった。誰もいるわけがないのだ。暖炉の......
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使われていない部屋・部屋主がなくなった部屋の表現・描写・類語(室内のようすのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(えり子が亡くなって雄一が残った部屋)部屋中が夜の中でしんと静まって、雄一の声を聞いているようだった。この部屋もまたえり子さんの不在にとまどっているように感じ続けていた。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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広間の周囲の空気からは、ここはエアポケットに陥ったように感ぜられつつある。
岡本かの子 / 母子叙情
流しの排水孔には角切りの小さなじゃがいもが詰まっていて、表面に油が渦を巻く汚い水が溜まっていた。そのヌルヌルして糸を引くじゃがいもを爪で挟んで取り出すと、水がようやく減り始め、鳥肉の屑は円を描いて穴に吸い込まれていった。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
小枝で作った壁の 隙間 から糸のように白い陽が流れこんでくる。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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