霧にかすんでしまって電燈が遠くに見える。行っても行ってもそこまで行きつけないような不思議な気持になるのだ。いつもの安堵が消えてしまう。遠い遠い気持になる。
梶井基次郎 / 闇の絵巻 ページ位置:94% 作品を確認(青空文庫)
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街灯・外のあかり
霧・かすみ・もや
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前後の文章を含んだ引用
......い。電燈の見えるところが崖の曲り角で、そこを曲がればすぐ私の旅館だ。電燈を見ながらゆく道は心易い。私は最後の安堵 とともにその道を歩いてゆく。しかし霧の夜がある。霧にかすんでしまって電燈が遠くに見える。行っても行ってもそこまで行きつけないような不思議な気持になるのだ。いつもの安堵が消えてしまう。遠い遠い気持になる。 闇の風景はいつ見ても変わらない。私はこの道を何度ということなく歩いた。いつも同じ空想を繰り返した。印象が心に刻みつけられてしまった。街道の闇、闇よりも濃い樹木......
単語の意味
安堵(あんど)
安堵・・・安心すること。心配事がなくなって緊張から解放されること。
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街灯・外のあかりの表現・描写・類語(光と影のカテゴリ)の一覧 ランダム5
道路に投げられた灯影を踏んで通行者が歩いていた。
松本 清張 / 真贋の森「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
遠くの電灯が白金のように白く光った。
川端 康成 / 童謡 amazon
電灯がついていて、後ろの木々に皎々 と照っている。
梶井基次郎 / 城のある町にて
家々は既に戸を降し、ところどころに外灯の光が軒先を照らし、高い電柱の上にむき出しの電球がタングステンの鈍く輝いている線を高みを通る風に揺すられるように寒々と見せている。
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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霧・かすみ・もやの表現・描写・類語(雨・霧のカテゴリ)の一覧 ランダム5
薄い海霧 が一面に――然 しそうでないと云われれば、そうとも思われる程、淡くかかった。
小林多喜二 / 蟹工船
村に、焦臭 い靄が低くこめる。山裾の町の電燈が、点々と燦き出す
宮本百合子 / 伸子
水のように濃くこめた霧
小林多喜二 / 蟹工船
薄い霧だか 烟 だか港一杯に拡がって
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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「光と影」カテゴリからランダム5
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外灯が芝生の一郭や噴水の周りのベンチを白く照らしていた。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
町のあかりであかるくなった夜空が燃えるよう
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
(樹々の陰にある井戸)汲みあげられて来る水は大きい木製の釣瓶桶 に溢れ、樹々の緑が瑞 みずしく映っている。
梶井基次郎 / 城のある町にて
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夜霧がプラットフォームの灯りの周囲にこまかい虫のように動く
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
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