朝といってももう十時ばかり、日の光は狭い部屋の隅々にまで透明な冬の明るさを投げていた。

部屋へ戻ると西日が斜めに大きく射していた。

差し込む光が彼女の影を柔らかくしている。

晴れた天気の光の反射が、液体のように、みずみずしい閑寂の空気を室内に湛えている。

窓から射し込む秋の朝の太陽が彼女の膝に薄い光の布をそっとかぶせていた。

（モデルルーム）家はこんなに綺麗じゃない。広くもない。物がいろいろあって、住むとなると、なかなかこんな風にはすっきりとはいかない

扉は岩のように硬く閉っている

（シンクに置かれた食べ残しの皿）そこには、朝、夫が使った食器が怠惰に積み重なっていた。ガラスのデザート皿にコーヒーカップがしりもちをついて、それにミート皿がもたれている。その隙間にナイフとフォークとティースプーンが刺さっている。わたしは美術作品を眺めるように、しばらく流し台の前に立っている。 　半熟卵が一筋流れ出して、皿の縁に回虫のように張り付いている。コーヒーの飲み残しがセロリの切れ端を粘土色に染めている。ヨーグルトが、脳味噌のように固まっている。流し台は〝有機体〟にあふれている。

窓に厚い布のカーテンとレースのカーテンが二重にかかっていて、どちらも揃いの紐で横にたくしあげてあった。

窓に掛けられた純白のレースのカーテンが、若い女性の部屋らしい雰囲気を醸し出している。

ようやく太陽が昇りはじめた。晴れた一日になる、そういう気配があった。

南側のガラス戸からさしこんだ陽が、座敷の半分まではいっていた。その位置に床がのべてあった。早春の明かるい陽に、床は清潔に輝いてみえた。

渡り廊下に射す光の加減で、日が空の高いところへ昇ろうとしているのが分かるが、日差しはどうしても店の奥にまでは届いてこない。

その松の木の下で じっと空を見ていた私です。 真蒼い空に老松の葉が 針のように光っていました

川の水が、秋の 朝陽 を吸っていた。