さすがに春の灯火 は格別である。天真爛漫 ながら無風流極まるこの光景の裏 に良夜を惜しめとばかり床 しげに輝やいて見える。
夏目漱石 / 吾輩は猫である ページ位置:35% 作品を確認(青空文庫)
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揺れる炎・ともし火
春の夕方・夜
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前後の文章を含んだ引用
......片足をあげて踏反 り返っている。双方共寝た時の姿勢より九十度はたしかに廻転している。しかもこの不自然なる姿勢を維持しつつ両人とも不平も云わずおとなしく熟睡している。 さすがに春の灯火 は格別である。天真爛漫 ながら無風流極まるこの光景の裏 に良夜を惜しめとばかり床 しげに輝やいて見える。もう何時 だろうと室 の中を見廻すと四隣はしんとしてただ聞えるものは柱時計と細君のいびきと遠方で下女の歯軋 りをする音のみである。この下女は人から歯軋りをすると云われ......
単語の意味
風流(ふうりゅう)
良夜(りょうや)
爛漫(らんまん)
光景(こうけい)
風流・・・上品な感じ。上品で美しく感じさせるさま。
良夜・・・月が美しく明るい夜。とくに、中秋の名月の夜。秋の季語。
爛漫・・・1.花が咲き乱れるさま。
2.ありのままに輝き現れるさま。ひかり輝くさま。
2.ありのままに輝き現れるさま。ひかり輝くさま。
光景・・・1.目に前に広がる景色。そこに見える景色や物事のありさま。景色。様子。
2.日の光。
2.日の光。
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揺れる炎・ともし火の表現・描写・類語(光と影のカテゴリ)の一覧 ランダム5
切燈台の油が鳴る。赤い真綿のやうな火が、ゆらゆらする。
芥川龍之介 / 芋粥
燃え上がり燃えかすれるその光は、幾百人の漁夫たちの命を勝手に支配する運命の手だ。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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春の夕方・夜の表現・描写・類語(春のカテゴリ)の一覧 ランダム5
夕陽の当たる斜面では、黄金色の木漏れ日が射している。それに負けないぐらい豪華な黄色い花をつけ、山吹が重そうに枝垂れている。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
どこか暖かい夕日の一片が隠れているような春の長い黄昏
野上弥生子 / 真知子 amazon
若草の芽も一晩のうちに伸びるような暖かい春の宵
島崎藤村 / 伸び支度 amazon
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「光と影」カテゴリからランダム5
ミラーを見つめた。後続車のヘッドライトは、藍色の夜にぼんやりと浮かんでいて、近づいてくる。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
(蝋燭の火で)体の動きにあわせて壁の上の影が大きく揺れた。まるで黒い幽霊が頭上から僕に襲いかかろうとしているみたいに。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
「火・煙・灰」カテゴリからランダム5
煙草の煙ほどの煙
小林多喜二 / 蟹工船
煙は静かな午後の光の中をゆっくりと、まるでエクトプラズムのように彷徨った。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
障子が赤く色づくほど庭で火が燃える
水上 勉 / 雁の寺 amazon
「春」カテゴリからランダム5
しのびやかに軽くくすぐるように、一日ずつ近づいてくる春
森田 たま / もめん随筆 amazon
花曇りに暮れを急いだ日は疾 く落ちて、表を通る駒下駄の音さえ手に取るように茶の間へ響く。隣町 の下宿で明笛 を吹くのが絶えたり続いたりして眠い耳底 に折々鈍い刺激を与える。外面 は大方朧 であろう。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
春がもう豹のような忍び足で訪れていはしたものの
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
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