林に入った。道に月光が散り敷き、木々のあわいは、不規則な光と影に充たされていた。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:45% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
月の光・月明かり
木漏れ日
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......の状態に戻す困難は別にしても、拾えばまた棄てるほかはないのを、私は知っていた。 私は歩き出した。月光の行きわたった野と靄の間を、前曲みに、せかせか歩いて行った。林に入った。道に月光が散り敷き、木々のあわいは、不規則な光と影に充たされていた。昨夜のように、山鳩がベエトヴェンの交響曲の主題を二小節鳴いた。 私は孤独であった。恐ろしいほど、孤独であった。この孤独を抱いて、何故私は帰らなければならないのか......
単語の意味
間(あわい)
月光(げっこう)
間・・・あいだ。間隔。
月光・・・月の光。
ここに意味を表示
月の光・月明かりの表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
月は西の空まで白い波のように長く拡がっている雲の端に隠れ、ちょうど月を隠している雲の端は、内から洩れ出る輝きに光を噴き出しているかのように見える。
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
小路は、月に照らされて、さながら霜を置いたようにうす白 い。
芥川龍之介 / 偸盗
このカテゴリを全部見る
木漏れ日の表現・描写・類語(晴れ・曇りのカテゴリ)の一覧 ランダム5
竹に交 った杉むらの空から、西日が一すじ落ちている
芥川龍之介 / 藪の中
いやにくっきりとした初夏の日差しが、頭上にはりだした樹木の枝の影を路地の地面にまだらに散らせていた。風がないせいで、その影は永遠に地表を離れることなく固定された宿命的な しみ のように見えた。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「空・中空」カテゴリからランダム5
入道雲が空を侵食するように埋め尽くしていた正午前
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
水のような月の光を浴びて
長塚 節 / 土 amazon
山の端の月の光が凍っているよう
国木田 独歩 / 武蔵野 amazon
硝子のように澄んだ空
大岡 昇平 / 武蔵野夫人 amazon
「晴れ・曇り」カテゴリからランダム5
天井の煙抜きから差し入る光の帯がちらちらと埃を舞い輝かせる
浅田次郎 / 悪魔「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
空・中空 の表現の一覧
晴れ・曇り の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ