短い手足をひろげた身体が断層の突端を離れ、昼でもない夜でもない白々した虚空の 何処 かへ、落ちるというよりは気流にのって滑空するように迷い込んでいく。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:99% 作品を確認(amazon)
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飛び降りる
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前後の文章を含んだ引用
......蹴り上げる。頭と肩で逆さまに手摺を越え、一瞬で姿が見えなくなる。 ベンチの上で金縛りになっていた数秒間、十和子は見えない目を開いて落ちていく陣治だけを見ている。短い手足をひろげた身体が断層の突端を離れ、昼でもない夜でもない白々した虚空の何処かへ、落ちるというよりは気流にのって滑空するように迷い込んでいく。それでいてその身体は同時に、十和子の内部を凄まじい速度で垂直に落ちていくようでもあった。十和子の一生の終わりまで、陣治の落下は続く。ゲボゲボ咳する陣治、どぜうの......
単語の意味
白白・白々(しらじら・しらしら)
虚空(こくう)
突端(とったん・とっぱな)
身体(しんたい)
白白・白々・・・1.少しずつ明るくなっていくさま。次第に夜が明けていくさま。
2.暗がりの中でわずかな白さが目立つさま。薄明るいさま。
3.白さが際立っているさま。いかにも白いさま。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
2.暗がりの中でわずかな白さが目立つさま。薄明るいさま。
3.白さが際立っているさま。いかにも白いさま。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
突端・・・突き出た端。先端。はじっこ。
身体・・・人のからだ。肉体。
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飛び降りるの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
足が折れた蛙のように飛び下りる
川端 康成 / 掌の小説 amazon
短い手足をひろげた身体が断層の突端を離れ、昼でもない夜でもない白々した虚空の 何処 かへ、落ちるというよりは気流にのって滑空するように迷い込んでいく。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
十七階から飛び降りた時だ。あの地面に落ちていく瞬間、どんどんアスファルトが近づいてくるんだ。自転車置き場の錆びた屋根だとか、ごみ捨て場に集まる烏の嘴だとか、はっきりと見えた。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
門を登り、飛び越す。タン、という乾いた着地音が大学の構内に響き渡った。
朝井 リョウ / 破りたかったもののすべて「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
泣きながら歩いたので頬がつっぱるような気がする。
林芙美子 / 新版 放浪記
わたしは痺れて硬くなった右足をゆっくりのばして立ち上がった。わたしの周りだけで微かに空気が動いた。抱え込んでいた体温が一度に逃げていった。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
階段を下りた。一段一段ゆっくりと下りながら思いを巡らせた。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
男は明るみを背にしてだんだん闇のなかへはいって行ってしまった。
梶井基次郎 / 闇の絵巻
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