(表札)能筆が自慢の重役が贈ってくれた大きな表札は、雨風に 晒されささくれて、履き古しの下駄に見えた。
向田邦子 / はめ殺し窓「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 ページ位置:2% 作品を確認(amazon)
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家の佇まい・外観
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前後の文章を含んだ引用
......あいが急に無くなり、暮れ切れない夕方の光のなかで自分の家を見ることが出来るようになった。 家はくたびれていた。 鉄平石の門もモルタルの壁も、白く粉を吹いていた。能筆が自慢の重役が贈ってくれた大きな表札は、雨風に晒されささくれて、履き古しの下駄に見えた。 この家を手に入れた十五年前は江口を気に入り引き立ててくれたが、使うだけ使うと、それこそ弊履のように閑職に廻したのである。 五十坪の借地に二十五坪の上物という小......
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家の佇まい・外観の表現・描写・類語(家・建物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
彼の家は、ポテト畠の真中に建っている
石井 好子「東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
見るからに奇妙な家だった。感じが悪いわけでも寒々しいわけでもなく、とくに変った建てかたをしてあるわけでもなく、どうしようもないほど古びているわけでもない。ただ──奇妙だった。それはうまく感情表現できないまま年老いてしまった巨大な生き物のように見えた。どう表現すればいいのかではなく、何を表現すればいいのかがわからなかったのだ。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
厚い檜皮ぶきの屋根が、重く暗い量感で、おそろしく迫って来た
川端康成 / 古都 amazon
その家は 櫟(くぬぎ) の生垣の丈が高く、庭先の植木も大きく枝葉を伸ばしている。門柱の木の表札の墨文字が、すっかり色褪せていた。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
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医院の玄関にはカーテンが引かれてあった。休日のため診療を休んでいるというふうではない。長期間ドアの開閉がなされていないらしく下の隙間には砂埃がたまり、上の庇にはところどころクモの巣がはられていた。長期にわたる休業、あるいは廃業の気配が、玄関付近だけでなく、建物全体に色濃く漂っている。
鈴木 光司 / らせん amazon
東方の三博士が夜空の星を目標に簡単にエルサレムだかベツレヘムだかにたどりついたみたいに、(高くそびえるホテルを目標にして帰り着いた)
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
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