彼の胸や腹のなかは、先ほどまでいっぱいつまっていた生ぬるい温度につつまれた期待や抵抗や欲望や不安などが、一挙にどこかへ退いて行ったため、全く空虚で、がらんどうで、空のブリキ缶がそこに入れられているかのようにも思っていた。
野間 宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置:56% 作品を確認(amazon)
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むなしい・虚無感
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前後の文章を含んだ引用
......んだ。》と及川隆一は自分自身に言いきかせながら、じっと夕暮のほのぐらい空気の中に網の目を拡げている交叉点の上の架空線の入りみだれた太い蜘蛛の巣に眼を向けていた。彼の胸や腹のなかは、先ほどまでいっぱいつまっていた生ぬるい温度につつまれた期待や抵抗や欲望や不安などが、一挙にどこかへ退いて行ったため、全く空虚で、がらんどうで、空のブリキ缶がそこに入れられているかのようにも思っていた。《ふん、まあ、帰ろう。……今日は、会わない方がよかったんだ。》と彼は、自分の足の辺りにまだ、捨て犬のようにうごめいている欲望の切れはしに向って言いきかせながら、......
単語の意味
胸(むね)
腹(はら)
腹・・・1.ヒトなど動物の、胴の下半部の前面と考えられる側。背(せ)の反対側の部分。また、その内側にある内蔵。
2.(腹の内面にあるものとして)心。考え。感情。気持ち。また、度量や度胸、気力もいう。
3.物の中央の膨らんだ部分。「指の腹」「銚子の腹」など。
4.背に対して、物の内側の部分。
2.(腹の内面にあるものとして)心。考え。感情。気持ち。また、度量や度胸、気力もいう。
3.物の中央の膨らんだ部分。「指の腹」「銚子の腹」など。
4.背に対して、物の内側の部分。
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(返ってくるはずのない父を待って)何台ものバスが過ぎた。乗客は次第に減って行った。一台をやりすごすたびに、恭一の心もうつろになって行った。からっぽのバスが来ると、胸もからっぽになった。
浅田次郎 / 角筈にて「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
無限の薄闇に堕ちるような虚無
芝木 好子 / 隅田川暮色 amazon
急に雨戸を繰って雪景色に驚いたようなそんな空虚さ
林 芙美子 / 耳輪のついた馬「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
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胸で悲しみを感じるときの表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
ベッドで寝ている弟は、胸が痛くなるような目をしていた。 それは捨て猫なんかの無邪気だから痛々しいというのと違って、もっともっとどうしてやりようもない、個人の身に余る重みを抱えているであろうことがわかりすぎる、そういうかわいそうな感じだった。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
悲しみが胸に広がるがままに任せた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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夢野久作 / ドグラ・マグラ
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