物音ひとつしない地下の薄くらがりの中で時間は死に絶えてしまったように思える。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 ページ位置:76% 作品を確認(amazon)
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黙る・沈黙
静けさ・静寂
室内(空間)が静か
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......を振った。虫でも追い払うようなゆっくりとした振り方だった。「どうせ家に帰ってもうまく寝られそうもないからね」 鼠は反射的に腕時計に目をやる。十二時二十分だった。物音ひとつしない地下の薄くらがりの中で時間は死に絶えてしまったように思える。シャッターを下ろしたジェイズ・バーの中には何年ものあいだ彼が求めつづけてきたきらめきのかけらもなかった。全てが色あせ、そして全てが疲れ切ってしまっているようだっ......
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黙る・沈黙の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
しばらく、沈黙があった。郵便配達のバイクが、前の道を素通りしていった。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
おたがいどちらかが話を切り出すのを待つ
浅田次郎 / うらぼんえ「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
しばらく沈黙がつづいた。そのあいだに僕はシャツのボタンにからまった糸屑を取り、ボールペンでメモ用紙に星の絵を十三個描いた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
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静けさ・静寂の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
声だけが空にふわふわ漂ったような静寂
本庄 陸男 / 石狩川 amazon
静けさがあたりを支配し、あたかも深い水底にでも陥ったような心地
豊島 与志雄 / 理想の女 amazon
やかましく鳴っていたラジオのスイッチを急に切りでもしたように、物音や人声がぴたっと止り
山本 周五郎 / 青べか物語 amazon
川の音と、山の木々が風にこすれる音しかしない。恐ろしいほど静かだ。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
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室内(空間)が静かの表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
雨滴が窓枠にしみこむ音まで聴こえそうなほどの静寂が、重くるしくあたりを支配する
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
大広間は森のように静かになった。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
講義をきく教室のような静謐な場所
円地 文子 / 朱(あけ)を奪うもの amazon
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「音の響き」カテゴリからランダム5
バイオリンの音色が人々のざわめきとミックスして古いフランス映画を見ているようだった
田中康夫 / パリ ホテル・ル・ブリストル「昔みたい」に収録 amazon
真空地帯みたいに静かな路地
田辺 聖子 / 休暇は終った amazon
「声・口調」カテゴリからランダム5
伏目になり、半分は言訳じみた声音で物を云った。
岡本かの子 / 母子叙情
信号が青になった途端、愛子と大地は同時に走り出した。「危ないって!」後ろから聞こえてくる大人たちの声が、ふたりの汗ばんだ背中をつるりと滑り落ちていく。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
秋の月夜の風の中で細く慄える鈴虫の声のような、やさしい声
村上知行 / 殉情の人
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