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都会人に取って人混は運命のような支配力を持っていた。
岡本かの子 / 母子叙情 ページ位置:41% 作品を確認(青空文庫)
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混雑している・雑踏・人混み
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前後の文章を含んだ引用
......上へ剰り水のように投げ出される。 いつか、人混の中へ織り込まれていたかの女は、前後の動きの中に入って却 って落着いた。「藻掻 いてもしようがない。随 いて行くまでだ」都会人に取って人混は運命のような支配力を持っていた。薄靄 を生海苔 のように町の空に引き伸して高い星を明滅させている暖かい東南風が一吹き強く頬 に感ずると、かの女は、新橋際まで行ってそこから車に乗り、早く家へ帰り度 いと......
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円顔に近かった彼の顔は、いまでは長形というよりもむしろ瓢簞形の無性格な輪郭を形づくっている。のびやかな顔の肌は失われ、額や頰のくぼみには疲労の跡がたまっている。もっとも三十前後から日本の小市民達の顔の上に現われるあの金銭に対する執着に原因した卑しさはそこにはなかったが、判然とした自分の思想を持ち得ず、あらゆるものを断片的に受け入れてきたもののあの無気力の汚さがただようていた。そして学生時代のあの知識に対する貪欲を証明する美しい眼の輝きはなくなってしまっている。これは一言にして言えば疲れた顔である。肩は張り、骨はごつごつし、以前の柔弱な体つきを全く変えてしまっていた。しかしそれでいて、どことなくよどんだ空気が彼のまわりをとりまいている。
野間 宏 / 残像「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
若い元気な学生たちの中に混じると、牛河の外観の異様さはいっそう際だっていた。彼のいる部分だけが、ほかとは違う重力や大気濃度や、光の屈折度を持っているみたいにも見えた。遠くから見ると、(ろくでもない話を持ってきた)彼は実際に不幸なニュースのようにしか見えなかった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
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吹き抜けの広々とした空間にちらほらとしかいない閲覧客が、館内の空気を外よりも寒々しく感じさせる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
雪崩れ込んだ避難民が《…略…》煙脂煙管(やにぎせる)のごとく、ぎっちり詰って動けなくなった。
里見 トン / 美事な醜聞「初舞台・彼岸花 里見トン作品選 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
歯の抜けた痕のように、元木武夫の席が空いていた。
本庄 陸男 / 白い壁 amazon
そこのコーナーだけは、人の渦の目のように静かだった。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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