彼は眼の前の彼女の体が、次第に容積を減じ生命の充溢を失い、どこかへ、粉のようにとびちってしまうかのように想像する。
野間 宏 / 顔の中の赤い月「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置:89% 作品を確認(amazon)
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儚げな人
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前後の文章を含んだ引用
......。《そのうちに食えなくなるのだ……今月から少し給料がよくなるようだが、すべては、食費にいってしまうのだからな……このひとの会社にしても同じことだろう……》そして彼は眼の前の彼女の体が、次第に容積を減じ生命の充溢を失い、どこかへ、粉のようにとびちってしまうかのように想像する。 彼には既に彼女に言うべき言葉がなかった。彼は、自分の口から如何なる言葉が出ようと、それがこの前にいる彼女の心の底にとどくことがないのを感じていた。このひとの中......
単語の意味
体(からだ)
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
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影のようにひっそりと、風のように軽く、すべりこむように彼女が入ってきた。
「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
髪の黒さと唇の紅さが、顔の青白さを引き立て、ベッドの少女は周りの白さの中に今にも消えてしまいそうなほど、儚げだった。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
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ふき子が立っている。紫っぽい着物がぱっと目に映えて、硝子越し、小松の生えた丘に浮かんで花が咲いたように見えた。
宮本百合子 / 明るい海浜
細ながい狐のような顔
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
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