雲は次々に南に向けて空を吹き流されていた。どれだけたくさん流されても、あとからあとから雲は現れてきた。遥か北方の地にそれらの雲を無尽蔵に供給する源があるに違いない。頑なに心を決めた人々が、灰色の厚い制服に身を包んで、そこで朝から晩までただ黙々と雲を作り続けているのだ。蜂が蜜を作り、蜘蛛が巣を作り、戦争が寡婦を作るように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
雲の流れ
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
no data
単語の意味
蜘蛛(くも)
蜂(はち)
蜘蛛・・・クモ目の節足動物の総称。8本足で体は袋状。尻から糸を出す。ほとんどの種は糸を使って巣を張り、そこに虫を捕らえて食べる。
蜂・・・膜翅目(まくしもく[=ハチ目])のうち、アリ以外の昆虫の総称。頭・胸・腹を境にくびれていて、特に腹は細長い。ハチといえば毒針で刺すものと思われがちだが、実際に刺すハチはほんの一握りに過ぎない。大きな巣を作って家族で暮らすものもハチ全体で見ると一部のみ。
ここに意味を表示
雲の流れの表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
雲の群れは倦むことなく空を南に向けて横切っていった。様々なかたちとサイズの雲がやってきて、そして去っていった。中にはずいぶん興味深いかたちをした雲もあった。彼らには彼らなりの考えがあるように見えた。小さく堅く、輪郭のはっきりとした考えが。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
幾百の高速船のように黒い雲が競争する
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
このカテゴリを全部見る
「空・中空」カテゴリからランダム5
月夜というものは提灯の要 らない夜ということ
梶井基次郎 / 闇の絵巻
林の梢に砕けた月の光が薄暗い水に落ちてきらめく
国木田 独歩 / 武蔵野 amazon
同じカテゴリの表現一覧
空・中空 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ