窓の外を見ると、巨大な満月が夜の街の上に昇っていた。その月の色は深く、どこかに吸い込まれていくようで、見ている者の目を通過し、さらに内面へ光を届けにくるようで、あまりにも強い輝きに思えた。まるで鼓動のように、その光は微かな強弱を含んでいる。
中村文則 / 教団X ページ位置:42% 作品を確認(amazon)
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月の光・月明かり
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前後の文章を含んだ引用
......に小さな力だったが、手が動いてることにかわりなかった。芳子は驚いたが、口にはしなかった。口にすれば、何かが壊れてしまうと思った。「ああ、……月が」 松尾の言葉に窓の外を見ると、巨大な満月が夜の街の上に昇っていた。その月の色は深く、どこかに吸い込まれていくようで、見ている者の目を通過し、さらに内面へ光を届けにくるようで、あまりにも強い輝きに思えた。まるで鼓動のように、その光は微かな強弱を含んでいる。「……運転手さん」 松尾が言う。「月が、奇麗ですねえ」 運転手もちらりと窓の外を見て、何かを言った。「……このまま見ていたいから、やっぱり……、高速道路を、最後......
単語の意味
含む(ふくむ)
満月(まんげつ)
内面(うちづら・ないめん)
含む・・・1.口の中に入れて噛んだり飲み込んだりせず、そのままの状態のこと。
2.ある気持ちを態度に示したり、なんとなくにおわす。「憂いを含んだ表情」
3.ある範囲の中にその要素が入っていること。「サービス料を含んだ値段」
2.ある気持ちを態度に示したり、なんとなくにおわす。「憂いを含んだ表情」
3.ある範囲の中にその要素が入っていること。「サービス料を含んだ値段」
満月・・・月が地球から見て、太陽と正反対の方向にある瞬間。また、このときに月の前面がまんまるに輝いて見える現象。もしくは、このときの月の形。望(ぼう)。望月(ぼうげつ・もちづき)。盈月(えいげつ)。十五夜の月。⇔ 新月(しんげつ)。
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月の光・月明かりの表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
雲間から覗いた細い月が、仄かに青い二つの長い影を小路に落としている
落合 恵子 / 夏草の女たち amazon
月光がその夜、どんなに 蒼白 で大地も林も銀色に浮びあがっていたことか。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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「空・中空」カテゴリからランダム5
向うの岩の割目から、水晶の綿のような雲が湧き出て
三浦 朱門 / 冥府山水図 amazon
両側から黒い山なみの稜線に挟められた星空が、ちかちかと瞬く砂金の川のよう
三浦 哲郎 / モーツァルト荘 amazon
漆黒の空に錐で穴をあけたようなやけに鮮明な月が、私たちを見下ろしていた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
砂金をちりばめたような空
立野 信之 / 軍隊病「軍隊病―兵士と農民に関する短篇集 (昭和4年) (日本プロレタリア作家叢書〈第5篇〉)」に収録 amazon
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