偵察機 が一機、獲物を 狙う鳥のように、小さな円を描いて旋回していた。

（ドッグファイト）二機は互いに距離を詰めていく。俺は宮部の後ろにつこうと大きく左に旋回した。奴も同じように旋回している。ぐんぐん距離が詰まり互いに相手の後方に取りついた形になった。巴戦というやつだ。英語ではドッグファイトというらしい。二匹の犬が互いに相手の尻尾に 嚙 みつこうとぐるぐる回るところから名付けられたそうな。 　互いに翼を傾けて、急旋回を続けた。すりばちを滑るように二機の零戦が回っていく。

（零戦は）懸命に中攻を守ったが、敵は零戦との格闘を避け、中攻ばかりを狙ってきた。敵機を追いかけると、別の奴が中攻に襲いかかる。中攻は次々に火を噴いて、墜ちていった。まるでオオカミの群を相手にするようなものだった。

（敵機の爆音の）その 蜜蜂 の羽音のような単調な 唸り

零戦は雷撃機の群れに、猟犬のように襲いかかりました。

Ｐ 51 は 錐揉みしながら墜ちていった。

ありったけの機銃弾を撃ち込んだ。Ｐ 51 は腹から黒い煙を噴くと、山の方に墜ちていった。

すぐさま発進した。運転手がクラッチを急激に離したためか、甲高い音を立てて車は一度前のめりになった。けれど、すぐさま体勢を立て直し、喚くようなエンジン音とともに走っていった。

街道を通ってゆくらしい自動自転車の爆音

くの字なりにハンドルを切って衝突の危機を逃れる

石垣にぴッたりと糊付けか何かのようにくッ付いて、薄暗く油煙に汚れた赤い灯の点いている小さな舟

舟はみえずに（櫓（ろ）の）音だけがなにかの鳥の鳴くように、獣の仔の乳をもとめる声のようにきこえる。

拳銃がどこからともなく現われて、目の前に銃口、耳には銃声が遅れて鳴る。

売り場にはいろいろな大きさの刃物が、種類ごとにフックに掛けられて並んでいるが、どれも硬質の透明フィルムで個別包装されているので直接触れてみることはできない。

はずみをくらった小さな動物のように、弾倉が軽い音で回転する

刃物が陽炎のようにきらめく

兵隊の脇腹に銃創があり、そこだけ萎んだ花弁のような形で、周りの皮膚より黒ずんで厚ぼったく変色している