(音楽鑑賞)美声のヴィブラートが、一本の蠟燭の明かりの揺らめきのように、彼女の存在を灯していた。 段々と人心地がついてくるようだった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:53% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
BGM・背景音楽
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......弱まっている。バグダッドにこんな雨が降るはずがないと、彼女はまた自分に言い聞かせた。こんなに湿気があって、夜が明るいはずがない。ここは、安全な東京なのだ、と。 美声のヴィブラートが、一本の蠟燭の明かりの揺らめきのように、彼女の存在を灯していた。 段々と人心地がついてくるようだった。 いつ聴いても、どうしてこんなに胸を打つ声なのかしら。崇高と言うには、確かに艶やかすぎるその声音。──もう、こんな時に自分を慰めてくれるのは、蒔野の音楽ではない......
単語の意味
美声(びせい)
美声・・・美しい声。きれいな声。耳に心地いい声。 ⇔ 悪声(あくせい)。
ここに意味を表示
BGM・背景音楽の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
会話を、雨音と、部屋に沈む静かな音楽の間で淡々と交していた。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
ラジオ・カセットはつけっ放しになっていて、スピーカーからは僕の知らないハード・ロックが小さな音で流れていた。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「音の響き」カテゴリからランダム5
重量のある声が、巻かれた分厚い敷物をほどきひろげるように皆の胸に圧する
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
ティーン・エイジャーから小銭を巻き上げるためのゴミのような大量消費音楽
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
その浪音は、私の耳に、手放しに泣き叫んでいるようにも、また手放しに哄笑しているようにも、かわるがわるに聞えてくるのです。
阿部 知二 / 黒い影 (1950年) amazon
同じカテゴリの表現一覧
音の響き の表現の一覧
感覚表現 大カテゴリ