お寿司の味、おいしさを伝える表現・描写
本式のすし桶でやると、底がひろびろしているので、御飯がいい塩梅にひろがる。それをまぜているうちにまわりの木に湯気を吸いとられてゆくから、ぱらっとした御飯になる。
庄野潤三 / 秋風と二人の男「われらの文学〈第13〉庄野潤三」に収録 amazon
(いなり寿司)味の染みこんだ油揚げに、甘く煮たにんじんやらしいたけやらを混ぜた酢飯を詰めた。きれいな俵型になるように、俺は作業に没頭した。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
到着したマグロは、薄く、小さく、赤黒く、干からびている。
東海林 さだお「タコの丸かじり (文春文庫)」に収録 amazon
おにぎりのような大きなごはんの上に座ぶとんのような形をしたマグロがのっている。
石井 好子「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
江戸前の〔にぎり鮨〕が、はじめて創られたのは、文化七年(一八一〇)のことだそうな。本所の横網で初代・与兵衛が店をひらき、新鮮な魚介を即席のにぎり鮨にしたのが大評判をよび、これより保守的な押鮨は圧倒されて江戸から逃げ、その勢力範囲を京阪に局限された、などといわれている。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
もともと鮨は庶民の食べものであって、私が幼少の頃、祖父の手もとで暮していたとき、しがない飾り職人であった祖父の家でも、七日に一度は出前の鮨を食べていたものだ。 そのころの鮨屋は、ガラス張りのケースにパセリといっしょに魚や貝をならべておくようなまねはしなかったようにおもう。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
手巻きの鉄火をつけたのはよいが、親指ほどのふといまぐろが飯からはみ出し、きたならしいことおびただしい。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
飯といっしょににぎる魚や貝がやたらに大きく厚く、飯がすくなくて、まるで刺身でも食べているような鮨
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
「ここのお鮨は、おみやげの折の中で、まだ濡れ濡れとしているねえ」
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
小さくにぎった飯へ厚切りのマグロが被いかぶさるようになっている
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
小判形に、にぎられて
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
この店の鮨が好きなのは、種と飯とのぐあいがちょうどよくて、飯の炊き方が好みに合っているからだ。
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
口へ入れたとき、種と飯とが渾然一体となっている
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
飯の舌ざわりよりも、部厚い種が、まるで魚の羊羹のように口中いっぱいにひろがって
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
(いなり寿司)甘辛い油揚げの中にいっぱいつまった飯、じとじと汁がたれそうなかんぴょうの帯。
林芙美子 / 新版 放浪記 青空文庫
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