なんとなくふさぎこむ

胸の辺りに鉛のような感覚がある

胸の中にもやもやとしたものが鬱積する

席替えというイベントに、教室は揺れるようにざわめき続けていて、私は船酔いしたような気持ちで窓の外を見た。

憂鬱な気分の中に閉ざされる

心が意識のエアーポケットに落ち込むように暗くなる

暗（やみ）に四方から包まれているのを、あたかも自分の心の裡（うち）さながらのような気がしながら

心が次第に暗く沈んでいくのを感じる

心の中が 葛藤 の 嵐

深い霧のなかを影法師のように過ぎてゆく想念がだんだん分明になって来る。 　彼の視野のなかで消散したり凝聚（ぎょうしゅう）したりしていた風景は、ある瞬間それが実に親しい風景だったかのように、またある瞬間は全く未知の風景のように見えはじめる。そしてある瞬間が過ぎた。――喬にはもう、どこまでが彼の想念であり、どこからが深夜の町であるのか、わからなかった。暗のなかの夾竹桃はそのまま彼の憂鬱であった。物陰の電燈に写し出されている土塀、暗と一つになっているその陰影。観念もまたそこで立体的な形をとっていた。 　喬（たかし）は彼の心の風景をそこに指呼することができる、と思った。

踏張 って見ても、泥沼に落込んだように 足 搔 きがとれず、気持は下へ下へ沈むばかりだった。

絶望に似た感情

唸る。うーっと本物の犬みたいな唸り声が出た。

唖然としてまじまじと見つめる

仄暗い虚無感が、鏡の上の雲のように意識に影を落とす