両側から黒い山なみの稜線に挟められた星空が、ちかちかと瞬く砂金の川のよう

星は語らない。ただはるかな山すそから、干潮になった無月の潮騒（しおざい）が、海妖（かいよう）の単調な誘惑の歌のように、なまめかしくなでるように聞こえて来るばかりだ。風が落ちたので、凍りついたように寒く沈み切った空気は、この海のささやきのために鈍く震えている。

降るような夏の星空

氷のかけらのような星

破れ靴のように捨てられた白いベンチの上に 私はまるで淫売婦のような姿態で 無数の星の冷たさを眺めている。

空は甘く曇っていて、ちょうど白いベールの向こうに青が透かし見えるような感じだった。

みてるとあまりの青さに頭がぼーっとしてくるね。

乾いた爽やかな風

雲の群れは倦むことなく空を南に向けて横切っていった。様々なかたちとサイズの雲がやってきて、そして去っていった。中にはずいぶん興味深いかたちをした雲もあった。彼らには彼らなりの考えがあるように見えた。小さく堅く、輪郭のはっきりとした考えが。

空には刷毛でひいたような白い雲が幾筋か流れ