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爽やかな空気の一種の冷たさ、人の跫音のしない建物全体の、広すぎるがらんとした感じ、空虚なとはこういう感じか。
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:19% 作品を確認(青空文庫)
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閑散・人気(ひとけ)がない
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......。それでも習慣で、十時過にアヴェレー・ホオルへ行った。そして、いつもの定りのテーブルに向って坐って見ると、伸子は、何とも言えず物足りなさを、身のまわりに感じた。爽やかな空気の一種の冷たさ、人の跫音のしない建物全体の、広すぎるがらんとした感じ、空虚なとはこういう感じか。伸子はその辺にあるすべてのものを、異様に新しく、強く感じて見た。  入口の扉が開いたり、近よる人の気勢けはいがしたりすると、彼女の神経は極度に緊張した。  佃は今数百マイル離......
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