（砂煙と硝煙が、濛々とたちこめる中に、）太陽は光沢をなくした銅の金盥のような鈍い妖しい色

赤熟した円盤のように輪郭のはっきりした太陽が照る

太陽が、遮るもののない青空にはばかること無くのぼる

鏡面を洗い澄ましたような初秋の太陽が昇った

熱い雲の向こうに太陽が白い盆のように浮く

ススキの野原の上に黙して浮かび、穏やかな湖面に白い丸皿となって漂い、寝静まった家屋の屋根を密やかに照らすあの月だ。満ち潮をひたむきに砂浜に寄せ、獣たちの毛を柔らかく光らせ、夜の旅人を包み護るあの月だ。ときには鋭利な三日月となって魂の皮膚を削ぎ、新月となって暗い孤絶のしずくを地表に音もなく滴らせる、あのいつもの月だ。

日が暮れて、金色の月が闇の中に浮かび上がる

いろいろな形をした雲の塊が、日光に溢れてぎらぎらする空を動いていく

東京では想像もつかないような広い夜空に、数えきれないほどの星が光っていた。クリスマスのイルミネーションかなにかのような、これを、降るような星空と呼ぶのだろうか。 「よく、星が瞬くって言うでしょ。あれは空気が汚れてるからなんですよ。澄みわたった空だと、瞬かないんです」

その雲は眼に見える風のようにたえず動いていた。