雨の降らない日が続いた。ソバ屋とガソリン・スタンドをつなぐ畠はすっかり 罅割れて、水気を失った 玉蜀黍 の根の間でキリギリスが乾いたくるしそうな声で 喘いでいた。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 ページ位置:1% 作品を確認(amazon)
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夏
日照り・干ばつ
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前後の文章を含んだ引用
......白人の男子人形だ。頭が赤く塗ってあるのは金髪のつもりであろう。高い鼻と碧い色の眼をもったその人形は一日中、謎のような微笑をうかべている。 私が引越した月はひどく雨の降らない日が続いた。ソバ屋とガソリン・スタンドをつなぐ畠はすっかり罅割れて、水気を失った玉蜀黍の根の間でキリギリスが乾いたくるしそうな声で喘いでいた。「こう暑くっちゃ、お風呂にはいりたいけれども」と妻が言った。「お風呂屋も随分、遠いのねえ」 風呂屋は国道を駅の反対側に逆もどりして三百メートルほど歩いた所にある......
単語の意味
喘ぐ(あえぐ)
螽斯・蟋蟀(きりぎりす)
喘ぐ・・・1.苦しむように息をする。息を切らす。
2.貧しさや精神的なプレッシャーに苦しんで悩む。
2.貧しさや精神的なプレッシャーに苦しんで悩む。
螽斯・蟋蟀・・・1.キリギリス科の昆虫。形はイナゴ似。全体的に緑色で長い触角を持つ。雄は「チョンギース」と鳴く。ぎっちょ。
2.蟋蟀(こおろぎ)の古称。
2.蟋蟀(こおろぎ)の古称。
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