目の前の霧の中に、家の形の大きな黒いものがあらわれました。嘉助はしばらく自分の目を疑って立ちどまっていましたが、やはりどうしても家らしかったので、こわごわもっと近寄って見ますと、それは冷たい大きな黒い岩でした。
宮沢賢治 / 風の又三郎 ページ位置:51% 作品を確認(青空文庫)
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霧・かすみ・もや
ぼんやり見える
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前後の文章を含んだ引用
......る時は、どこかで何かが合図をしてでもいるように、一面の草が、それ来たっとみなからだを伏せて避けました。 空が光ってキインキインと鳴っています。 それからすぐ目の前の霧の中に、家の形の大きな黒いものがあらわれました。嘉助はしばらく自分の目を疑って立ちどまっていましたが、やはりどうしても家らしかったので、こわごわもっと近寄って見ますと、それは冷たい大きな黒い岩でした。 空がくるくるくるっと白く揺らぎ、草がバラッと一度にしずくを払いました。 (間違って原の向こう側へおりれば、又三郎もおれも、もう死ぬばかりだ。)と嘉助は半分......
単語の意味
怖怖・恐恐(こわごわ)
暫く・姑く・須臾(しばらく)
怖怖・恐恐・・・びびりながらする。おそるおそる。
暫く・姑く・須臾・・・1.長いと感じるほどではないが、すぐともいえないほどの時間。ちょっとの間。一時的。
2.ちょっと待った!
2.ちょっと待った!
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霧・かすみ・もやの表現・描写・類語(雨・霧のカテゴリ)の一覧 ランダム5
谷間から煙のように流れて来た夜霧
横光利一 / 日輪
標識はまるで誰かが息でも吹きかけてくれたかのように、一瞬だけ切れた霧の中から現れた。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
霧はゆっくりうねりながら、一つの方向へ流れていた。それは風景をすっぽり包み込んでしまうような息苦しい霧ではなく、透明な清らかさを持っていた。手をのばすと、その薄くてひんやりしたベールの感触を味わうことができそうだった。
小川 洋子 / 夕暮れの給食室と雨のプール「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
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ぼんやり見えるの表現・描写・類語(見るのカテゴリ)の一覧 ランダム5
幽霊よりも影のうすい姿を現わした。
小林多喜二 / 蟹工船
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「雨・霧」カテゴリからランダム5
駐輪スペースへと歩く。ポロシャツや短パンにみるみる粒状の染みができ、生ぬるい湿気に全身が包まれた。
羽田 圭介「ミート・ザ・ビート (文春文庫)」に収録 amazon
雨の筋が、強い風に煽られて、千切れたり、弓の弦のようにしなったりするのが、ハッキリと肉眼に見えた。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
雨音は厚い緞帳(どんちょう)のように戸外をとざしていた。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
麦の葉が雨に濡れて緑の色を一層冴えさせる
吉村 昭 / 海の鼠 amazon
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ジロジロと視線を飛ばしてくる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
ちょうど海にもぐっていて、うす目で明るい水面を見あげるように頭上の空をぼんやり眺めていた。
野上 弥生子 / 野上弥生子短篇集 amazon
美しい頂上、山ひだの一つ一つをなめるように見まわした。
大岡 昇平 / 俘虜記 amazon
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