彼女の細い指は顔に似合わず、円い肉をつけていて、それが月の光をあびて白い虫のように輝いていた。
野間 宏 / 残像「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置:42% 作品を確認(amazon)
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指の雰囲気・状態
月の光・月明かり
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......らえることができるのだろうと考えたりしたことを思い起した。そしてまた彼はその便所の横の植え込みのところで、しばらく、互いの両手を渡し合ったことなどを思い起した。彼女の細い指は顔に似合わず、円い肉をつけていて、それが月の光をあびて白い虫のように輝いていた。そして彼女はその指に、急に、全身の力をこめて、彼の手の骨をしめつけ、また力を抜くのだった。 あのような時、二人はこの人生というものを全く知りはしなかった。しかし......
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指の雰囲気・状態の表現・描写・類語(手・指・爪のカテゴリ)の一覧 ランダム5
親指の根元が蟹のはさみの肉のように隆起する
河野 多恵子 / 夢の城 amazon
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月の光・月明かりの表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
月が西に傾いたので、白い光りの一帯は半切 ほどに細くなった。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
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幾筋かの雲がとても高いところに浮かんでいた。それはあまりにも遠く、あまりにも高く、人間の営みとは関わりを持たないきわめて抽象的な考察のようにも見えた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
漆黒の空に錐で穴をあけたようなやけに鮮明な月が、私たちを見下ろしていた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
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妙にガサガサ荒れた手
林芙美子 / 新版 放浪記
ぶどうを食べる時の、淡い紫色に染まった弟の指先は、上等な工芸品のように繊細だった。混ざりけのない透明な皮膚に、ぶどうの果汁がしみとおっていくのを、わたしは飽きもせずじっと見ていた。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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