（垢抜けない）田舎育ちのせいもあって、日頃見慣れている都会の女たちに比べれば、いくぶん垢抜けの薄いうらみはあった

人込みの中に静かに溶けてしまいそうな、地味なおばあさん

紅のない自分の顔は 淋しすぎる。

ヒロインは、名も知らぬ女優だったが、彫像のように端整な顔立ちでありながら、その土地ではどこにでも咲いている花のような質朴な魅力があった。

民子は全くの田舎風ではあったが、決して粗野ではなかった。可憐（かれん）で優しくてそうして品格もあった。厭味とか憎気とかいう所は爪の垢（あか）ほどもなかった。どう見ても野菊の風だった。

カフェテリアは混み合っていたが、牛河の座っている六人掛けのテーブルには誰ひとり同席していなかった。レイヨウたちが山犬を避けるのと同じように、自然な本能に従って、学生たちは（異様な雰囲気を持つ）牛河をよけていた。 （略、彼は、）カフェテリアの人混みの中に消えていった。彼が歩いていくと、その道筋にいる男女の学生たちは自然に脇によって道をあけた。村の小さな子供たちが恐ろしい人買いを避けるみたいに。

掃いたような大通りは静まりかえって、昼間よりも広々と見えた。大声に話す声は通りに響き渡った。

いかにも山形育ちらしい、野生的な姿

クラスのカーストでいえば、最下層

打ち出し物の壺のように、外見ばかり鮮やかで中身は虚ろに感じられる